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多様性は優れたAIを実現する——パートナーシップ・オン・AI

2018年03月29日 16時57分更新

文● Jackie Snow

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アップルやグーグルなどが参加するパートナーシップ・オン・AIの幹部は、AIの研究には多様性が必要だという。多様性は経済にも貢献することも指摘し、AI関係者の偏りをなくすよう訴えている。

テクノロジーが間違いを犯すと、非難の大部分は大手のテック企業へと向けられる。しかし、これらの企業は、将来、人工知能(AI)テクノロジーが世界のためにさらに役立つ鍵にもなると、AI研究団体パートナーシップ・オン・AI(Partnership on AI)のテラ・ライオンズ常任理事は述べている。

サンフランシスコで開かれたMITテクノロジーレビュー主催の年次カンファレンス「EmTechデジタル」で、ライオンズ理事はパートナーシップ・オン・AIの4つの綱領と、組織の指針となる8つの原則について語った。原則の中には、個人のプライバシー保護とセキュリティへの取り組み、AIの進歩によって影響を受ける可能性のあるすべての関係者の利害を尊重する努力、AI研究者の社会的責任の維持、AI研究とテクノロジーの健全性と安全性の確保、協力と信頼という文化の創出、そしてこれらの原則を達成するためのAI科学者間の開放性などが含まれている。パートナーシップ・オン・AIは、これらの原則がより幅広いテクノロジー・コミュニティに受け入れられることを期待している。

2016年、アマゾン、アップル、IBM、フェイスブック、グーグル、マイクロソフトの6つの企業は、AIに関連する問題は単独で扱うには複雑すぎるという考えのもと、パートナーシップ・オン・AIを立ち上げた。現在、イーベイ(eBay)やインテルなどのテック企業から、米国自由人権協会(ACLU)や国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルといった非営利団体まで、54の企業・団体が参加している。

ライオンズ理事は「公平で透明性がある責任あるAI」「安全第一のAI」「AIと労働と経済」というパートナーシップ・オン・AIの最初の3つのワーキング・グループについて発表した。各グループには営利、非営利の企業・団体が参加でき、その成果はできるだけ幅広く共有することを目指している。ライオンズ理事はこれらのグループは「懸念を抱いている科学者連合」のようなものだと述べている。

「本当の包摂性を実現できるかどうか、大部分は私たち一人一人にかかっています」。

マイノリティ学生にAIを教えるサマープログラムを運営している非営利団体AI4ALL(AIフォーオール)のテス・ポーズナー常任理事は、次世代のAI研究者のために多様なグループを教育することがなぜ不可欠かを述べた。現在、女性のCEOがいるAI企業はわずか13%、さらに米国で終身在職権を持つ黒人の技術系大学教員は3%に満たない。さまざまな要素を持つ労働力は、より多くのアイデアがあり、システムに問題が発生する前に原因を特定できる。つまり、多様性は利益を引き上げることにもつながる。ポーズナー理事は、多様性は米国経済を5000億ドル増大させるという、最近のインテルのレポートを引き合いに出し、「ビジネスにも良いことなのです」と述べた。

EmTechデジタルでは、女性によってAIを改善するアイデアがほかにも披露された。3月26日、マイクロソフトのティムニット・ゲーブル研究員は、現在のAIシステムの偏見の例について講演し、3月27日の午前中には、ファストAI(Fast.ai)のレイチェル・トーマス共同創業者が、自社の無料の深層学習コースや、AI研究者の多様化の取り組みについて語った。多様性を実現するための現在の問題は、より多くの女性や有色人種の人々を研究者として受け入れることで解決できるかもしれない。

「『優れた人材が見つからない』という意見には賛成しません」とAI4ALLのポーズナー理事は語る。「見つからないのはちゃんと探していないからです」。


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