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この濃厚コミュニケーションはもはや東京では体験できない?

少人数での勉強会の楽しさを再確認したJAWS-UG長野

2018年03月26日 07時00分更新

文● 重森大

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運用に手間をかけたくない寺田さんがピックアップした新サービス

 LTのトリはサーバーワークスの寺田 怜真さん。re:Inventを振り返るre:Capらしく、最後のLTはre:Inventで寺田さんが気になったサービス5つをピックアップして紹介。

 ちなみに寺田さんは信州大学大学院にも所属する、いわゆる社会人学生。サーバーワークスの仕事をリモートワークでこなしつつ、朝晩と休日は大学で研究を行っているそうだ。サーバーワークスは長野にオフィスを持っておらず、東京オフィス所属とのこと。

 そんな寺田さんが、re:Inventで発表された60近いアップデートの中からピックアップしたのはAWS Fargate、Amazon Time Sync Service、Amazon Aurora Serverless、Inter-region VPC Peering、Amazon GuardDutyの5つ。

 「AWS Fargateの機能についてはもうあちこちで語られているので端折りますが、AutoScalingの軌道が早いのとスケーリングのチューニングが不要という点が気に入っています。特にメディア系のお客さんの場合はスケーリングの早さが求められるので、役立つのではないかと考えています」(寺田さん)

サーバーワークスの寺田 怜真さん

 AWS Fargate導入の課題は価格だというが、アクセススパイクを想定してサーバーを余分に用意したり、その運用に何人もの人手がかかったりすることに比べればコストメリットも出るはずとのこと。

 続けて紹介されたAmazon Time Sync Serviceも、すでにあちこちで紹介されているのでご存知の読者が多いだろう。機能としてはごく普通のNTPなのだが、「NTPの参照先アドレスをAmazon Time Sync Serviceにするだけで使えて、注意点も特にない」(寺田さん)ことから、かなりの需要が見込まれている。

 RDBのサーバーレスサービスであるAmazon Aurora Serverlessは、アプリをDynamo DB等のNo SQLに置き換えたくないというケースで有用だ。

 「個人的に推したいのは、実は小規模システムでの利用です。規模が小さくてもRDBが欠かせないというサービスはあります。コストを抑えるために夜中はRDBを止めたりという工夫をしていますが、サーバーレスになれば使っていない時間は勝手に止まっていますし、もしアクセスが増えればスケールしてくれます。ただ、まだプレビューの抽選に当たらず、実際に触ってはいません」(寺田さん)

 4つ目のピックアップサービスは、Inter-Region VPC Peering。「リージョンをまたぐグローバルなサービスを作るときに欲しかったサービスが、やっときた」(寺田さん)と、待ちわびていた様子。DRとしても使えるし、基本的な使用法や注意点はVPC-Peeringと変わらない。

「もっとも気をつけなければならないのは、東京リージョンではまだ使えないということです」(寺田さん)

 この言葉には「そうなんだよねー」と会場から複数の声が上がった。新サービスはアメリカからスタートすることが多いので仕方ないが、待ちかねていたサービスだけに惜しい。

多くのエンジニアが待ちわびたInter-Region VPC Peeringだが東京リージョンは未対応

 寺田さんが最後に取り上げたのは、Amazon GuardDuty。不審な挙動を検知してアラートをあげてくれるサービスだ。エージェントをインストールする必要がないこと、既存のセキュリティ機能に比べて安いこと。少しでもセキュリティ要件が高いと言われたら必須になるサービスではないかと寺田さんは期待する。

「とはいえ、アラートが上がったら人間が対応しなければならないし、ウィルス対策やWAFの置き換えになるわけではないという点ですね」(寺田さん)

 運用負荷を下げるサービスを中心に5つピックアップしたが、「毎度のことながら、東京リージョンではまだ使えないサービスが多い」(寺田さん)ので、日本への展開に期待したいと語って締めた。

少人数だと懇親会での話も濃いぞ!

 さてLT大会が終わって、みなさんお待ちかねの本番、懇親会だ。全員参加しても8名なので、その場で「何を食べたいですか」と予約もなく店選び。長野の地酒を楽しめるお店へと一同は流れ込んだ。筆者の興味をひいたのは、ご当地の飲食店て提供される「山雅(さんが)ビール」。地元のサッカーチームである松本山雅FCを応援するために生まれた、鮮やかなグリーンのビールだ。筆者は例によってキャンピングカー移動があるため味見はできなかったが、「味は普通のビール、青い色素やリキュールで緑色に染めてある」のだそうだ。

 他にも馬刺しや信州サーモン、山賊焼などを楽しみながら、次第にみんなの心と口が緩んで来る。赤裸々な話題が飛び交い、笑いの絶えない懇親会となった。

馬刺しの盛り合わせは赤みだけではなくタテガミもあり馬肉の美味しさを堪能できた

 テンションの上がった方がおもむろにPCを取り出して資料を示しながら熱く語り始めた人もいた。非公式な話が多かったので詳細を書けないのがとても残念だが、「懇親会LTはJAWS DAYSやJAWS FESTAだけじゃない」とだけ、お伝えしておきたい。小規模勉強会ならではの楽しさ、熱さを存分に味わった松本の夜だった。

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