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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第448回

業界に痕跡を残して消えたメーカー どこにでもあったPCのスーパーマーケットCompUSA

2018年03月05日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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店舗数が増えるが赤字も膨らむ
急激に業績が悪化し店舗を閉鎖

 1999年第2四半期の売上は13億9000万ドルで、前期比2億ドルのアップにも関わらず、営業利益は65%もダウンした。1997年からの数字を拾うと以下のようになっている。

1997~1999年 CompUSAの財務データ
年度 売上 粗利 営業利益 純利益
1997年 46億1052万ドル 6億5712万ドル 1億5699万ドル 9389万ドル
1998年 52億8604万ドル 7億4532万ドル 5716万ドル 3154万ドル
1999年 63億2139万ドル 8億0306万ドル -5422万ドル -4575万ドル

 1998年から急速に業績が悪化し、1999年には赤字転落という構図である。もっとも1998年はComputer Cityの買収にともなう経費増が主要な要因なので、この業績悪化が見逃された感がある。

 残念ながらこの後もCompUSAの業績は回復しなかった。売上こそ急速に下がることはなかったが、赤字幅はどんどん拡大していく。最終的に2000年5月、CompUSAはメキシコのドラッグストアチェーンであるGrupo Sanbornsによって買収され、Grupo Sanbornsの下で再生を図る。

 2003年には、やはり破綻したGood Guysというチェーン店を買収、2005年には両社を合併させ、CompUSAの3店舗とGood Guysの13店舗を“CompUSA with Good Guys Inside”というメガストアに転換するものの、売上はまったく上がらなかった。

 2001年あたりからドットコムバブルが弾けた結果として当然売上は落ちることになり、さらにPC自体もかつてに比べて低価格な製品が多く登場するようになると、なかなか元の売上には戻らない。

 結局2006年あたりからCompUSAは店舗の閉鎖を開始し、2007年には126もの店舗を閉鎖する大規模なリストラを行なう。ただそこまでやっても収益性は改善せず、最終的に2008年にCompUSAのブランドとビジネス、店舗などがまとめてSystemax Inc.に売却される。

 Systemaxはこのうち12店舗を改めてオープンするものの、やはりビジネスを継続するのは厳しいという結論になり、2012年にSystemaxはすべての店舗資産を売却してしまう。

 CompUSAの名前そのものはまだ残っているが、中身はSystemaxのウェブベースの通販サイトであるTigerDirectと統合されており、事実上死亡しているというのが正確なところだろう。

 おそらく2004年頃だと思うが、IDFかMPFの取材のついでにベンチマーク用のゲームを入手するためにCompUSAを何度か訪れているのだが、いつ行っても客が自分1人しかいない(平日だからということもあるだろうが、FRY'sには平日でも客が大勢いる)状況に「こりゃあ長くないなぁ」と感じたら案の定、翌年だか翌々年には建物こそ残っていたものの別の店になっていて、栄枯盛衰を感じたものである。

 そこから10年弱で、日本でもPCショップの統廃合が起きており、その際にもやっぱりCompUSAの事が脳裏に浮かんだ。もっともFRY'sはいまだに元気に営業しているあたり、どこに違いがあったのだろう? という疑問には答えを見出せていない。

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