”最大の損失はコンシューマーに”
HuaweiのYu氏は語るのだが
晴れの舞台となるはずだった、CESでのYu氏の基調講演は1時間を超えていた。HUAWEI Mate 10 Proの機能紹介を終えた後、スライドは事前予約の画面に。BestBuy、Amazon、Microsoftなどのロゴが並ぶが、キャリアのロゴはない。Yu氏は「キャリアの発表があると予想していた人がいるかもしれない」と切り出す。そして、「報道を見た人もいるだろうが、キャリアとの提携は実現しなかった」と語る。笑みを浮かべてはいるが、落胆は隠せない。
CNBCによると(https://www.cnbc.com/2018/02/13/chinas-hauwei-top-us-intelligence-chiefs-caution-americans-away.html)、今回上院情報問題特別調査委員会に向けてHuaweiとZTEを名指しで批判したのは、CIA、NSA、連邦捜査局(FBI)など6機関という。FBI長官のChris Wray氏による「米国と価値観を共有しない外国政府の恩義を受けた企業が、米国の通信ネットワーク内で力のあるポジションを確立することに深い懸念を抱いている」というコメントが引用されている。
なお、Huaweiの端末は、そしてネットワークインフラ機器はプライバシーにうるさい欧州では問題なく利用されている。
Yu氏は、インフラ機器で後発ながらまず中国で信頼を獲得し、その後に新興国や欧州、日本のキャリアが採用するに至ったこと、6年前にゼロからスタートした端末事業もさまざまな地域のユーザーが利用していると語っている。国にすると170を上回るという。そして、「多くの米国の人がHuaweiを知らない。米国では90%がキャリアチャネルを経由しており、(今回のキャリアとの提携が実現しなかったことは、我々に取って大きな損失だが、キャリアに取っても大きな損失だ。何よりも最大の損失を被るのはコンシューマーだ」とした。
「我々には最高の技術、最高のイノベーションがある。Huaweiはシンプル、透明性、オープンな企業だ」とYu氏、そして将来はコンシューマーがHuaweiを選び、キャリアがHuaweiを選ぶようになると期待を語った。
Huaweiに勢いがある限り、米国は固くドアを閉ざすのかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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