●自力で計算するのは難しい
「まだ法律が対応していないので計算しようがないのですが、それでも損益が出たら計算しなければならず、どこかに根拠を見つけるしかない。そこで『株式と同じように移動平均や総平均を使おう』とか、『売買時の時価は主要取引所の時価の仲値を使おう』といった形で根拠を見つけていくことになります」
たとえば、売却時の利益を出すには仮想通貨を売ったときの時価が必要になる。国内取引所なら問題ないが海外取引所は円が使えない。また、数万件単位の取引で1件ごとを追うのはむずかしい。そのため外貨を売買するときに使われるTTM(仲値)を参考に使い、国内大手取引所の仲値を使って計算する。翌年、翌々年も同じやり方で計算すれば恣意性が排除できるため問題ないという考えだ。
いつ、どこの取引所で、どのように利益を出したか、何を根拠に計算しているかを示せば個人でも計算できるが、検証まで含めると無理があるという。
「株式は証券会社が1年間の取引履歴を納税者と国税庁に送っています。一方、仮想通貨は、証券会社が多額の投資をして作ったシステムを個人投資家に『自分で作れ』と言っているような状態。日本は申告納税なのですべて自己申告です。数万件の取引の計算内容が合っているかどうかを検証するのは不可能でしょう」
市場には無料の計算ソフトも出回っているが、データ取り込みに対応していない取引所があったり、ツールによってはあきらかな異常値が出るなど、精度はまだ高いとはいえないという。計算結果が正しいか検証するのもむずかしい。
混乱に乗じて税金逃れをしようとする人も出てくる。
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