第6章 新しい時代に生きる
20世紀後半は、大量生産のために資本力も組織力も必要で、企業が大型化して行った。大企業では、業務を効率的に処理するために、機能に分けて組織化し、それぞれ専門スキルを持った人材を育てて、全体組織を最適化している。こうした組織体制は、高品質を実現し、生産性を高めるのに効果を発揮した。このシステムは、個人レベルで見れば、狭い範囲のスキルしか身に付かなかったり、大きな組織の歯車となってしまって、モーチベーションが上がらない。このような大きな既存事業に最適化された組織では、小さくても全体を考えてゼロから事業を立ち上げるような人材が育ちにくい。こうした従来組織が、変化の激しい時代において、イノベーションを起こしにくい原因にもなっているのではないだろうか。
私は、そんな閉塞感を打ち破るのが、テック起業家だと考えている。ここまで本書を読み進んでいただいた読者の方には、スタートアップが以前より格段に身近なものになったこと、また多くのチャンスがあることを感じ取っていただけたのではないだろうか。我々は、100年前と比べれば、考えられないほど豊かな生活をおくれるようになった。これからは、もっと新しいことにチャレンジすることに時間を使っても良いのではないだろうか。最後に本章では、そんな新しい時代の働き方について、少し考えてみよう。
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テクノロジー・スタートアップが未来を創る: テック起業家をめざせ鎌田 富久(著)東京大学出版会