第5章 未来を創る
インターネットは、世界中の人々をパソコンやスマホを通してつなぐという段階からさらに進んで、あらゆるモノをつなぐ段階へと進化しつつある。この20年あまりで、リアルの世界のあらゆる人間の活動(ショッピング、オークション、エンターテイメント、広告、テレビ放送、メール、電話、おしゃべり、つぶやき、などなど)がネット上(サイバー空間)へと展開されて行き、ネット経済が大きく成長した。そして、数々のスタートアップが成功した。情報通信技術は、今後さらにエンジニアリング、生命科学や医学、材料やナノテクノロジー、航空宇宙などとより深く結びつき、様々なイノベーションを起こすと予想できる。リアルの世界がネットにつながり、様々な変化が起きる。スタートアップが活躍できそうなテーマがたくさんある。アラン・ケイやピーター・ドラッガーが言っているように、まさに「未来を予測する最善の方法は、それを自ら創り出すことだ」。
本章では、特に私が有望と考えている成長分野、テクノロジー・スタートアップに期待したい領域をいくつか取り上げる。また、「日本勢としてグローバルな競争にどう勝つか」という視点でも考えてみたい。どれも注目度の高いテーマである。スタートアップに興味のあるエンジニアや研究者、新しい分野の開拓に興味のある起業家のヒントになりそうなトピックについて紹介する。これらは、大企業にとっても重要なテーマかもしれない。どの分野も最新のテクノロジーによって、大きな変革をもたらす可能性のあるものばかりだ。
●最適化へ向かう社会
●ポストスマホ時代の競争領域
●リアル世界に神経網と頭脳を
●ロボットなしでは成り立たない
●生命2.0をもたらすゲノム科学
●宇宙時代の幕開け
●医療の未来を開拓する
●農業をハイテク産業に
●テクノロジーで進化する人類