ハンヴィーを車検に出したら車検以外で30万近くかかりました

2017年12月24日 17時00分更新

文● にゃかむら（@TK6506）、編集●アスキー

車検のついでにあれこれ直します

　異変に気付いたのは車検の前日。イベントで展示をしたあと、さあ帰ろうと思ったときのことです。グローのWAITランプが点きっぱなしになってしまいました。

　グローというのは予熱のシステムです。ガソリンエンジンが、空気とガソリンの混合気を圧縮して点火プラグで着火するのに対し、ディーゼルエンジンは、空気が圧縮されて高温になり、そこに噴射された燃料が自然着火します。エンジンが冷え切っていると発火温度にならないことがあるため、そのときはグロープラグというヒーターがオンになって予熱を与えます。

WAITランプが消えなくなってしまいました

　グロープラグが動作するのは7、8秒かなぁ。WAITランプは名前のとおり「終わるまでちょっと待ってね」という警告灯で、予熱が終わると自動的にオフになってランプが消えます。ところがはいくら待っても消えませんでした。ランプが壊れたのではなく電流が流れっぱなしになっているとしたら、熱でグロープラグが壊れてしまいます。心配ではありますが会場から撤収しなくてはいけないし、どうせ翌日には車検に出すので、この日はとにかくそのまま帰宅しました。

　翌日。もしかすると直っているかもしれないという根拠のない期待をしつつ電源をオンにしてみましたが、相変わらずWAITランプは消えません。自然治癒するわけないので当たり前ですけど、やっぱり壊れたみたいです。ただ、この日はだいぶ暖かかったのでそもそも予熱の必要がなかったらしく、始動はできました。動き出してしまえば予熱は不要なので、光っぱなしのWAITランプにビビりながら車屋さんまで走ります。

いつ来てもかっこいいスカイオート。故障はさておき記念写真を1枚

　グロープラグの故障をグローのパンクと呼んだりするらしいんですが、ハンヴィーやその市販バージョンであるハマーH1では結構あるらしいです。ハンヴィーでは運転席のダッシュパネル下にあるユニットがコントロールしています。

グロープラグをコントロールする、その名もCONTROL BOX

　このユニット、うちのはCONTROL BOXというストレートな名前が書かれていましたが、これは最初期のもの。その後EESS（ENGINE ELECTRICAL START SYSTEM）という名前になってそれが3バージョンぐらいあり、さらにS3（SMART START SYSTEM）に変更されています。中身は電子回路やリレーで、当然30年前に設計されたものより最近の物のほうがいいに決まっています。

　というわけで、もしこれが壊れているようならS3に替えてもらうことにしたんですが、問題は価格です。新しくなるほど高くなり、新品のS3はなんと8万円！　グロープラグは1本4500円なので8本で3.6万円……この部品代だけで約12万円です。なんという破壊力なのでしょう。

　そのほか、エンジンが冷えているときにスタートしてすぐに走り出すとエンジンが止まってしまうという心臓に悪い不具合や、ウォッシャー液が出ない、なぜか右後ろの窓だけ黄色いのが嫌、ボンネットがちょっとズレてるなど、気になっているところもあちこちあります。

なぜか右後ろだけ黄色い窓。見にくいのです

　そんなわけで、S3とグロープラグの部品代を聞いて変に気が大きくなったというか半ばヤケッパチな気持ちになったので、どうせお金がかかるなら全部解決しちゃおう！　と、重整備をすることに決めました。やるなら徹底的にというところです。

　ちなみに普通のクルマの車検は１日かせいぜい2、3日で終わりますが、ハンヴィーは2週間から1ヵ月ぐらいかかります。軍用車というと頑丈でメンテナンスフリーな気がしますが、マニュアルではしょっちゅうチェックやメンテをするよう指示されているので、市販車よりよっぽど手がかけられているのです。ウチのは普段はなにもしていないのでグリスアップやチェックに時間がかかるし、特に今回は取り寄せるパーツが多いので輸入にも時間を取られます。

　待つこと2ヵ月。すべてが直って戻って来ました。