企業の「データ主導型」「イノベーション」実現を支援、「Oracle CloudWorld Tokyo 2017」基調講演
日本オラクルCEO、顧客視点の徹底でベストパートナー目指す
2017年12月08日 07時00分更新
6パターンの“クラウドジャーニー”に沿って顧客事例を紹介
基調講演後半では、Oracle Cloudをさまざまな形態で導入している顧客企業各社が次々に登壇した。まず同社 執行役員 クラウドソリューション営業統括の竹爪慎治氏が登壇し、オラクルが展開するIaaS/PaaS/SaaS/DaaS(DBaaS)それぞれの特徴を紹介したあと、Oracle Cloudへの移行モデル“クラウドジャーニー”には、あらゆるビジネス要件に対応できる6パターンがあることを説明する。
1つめの移行パターンの顧客として、NTTコムウェアが紹介された。データセンターにある既存システムを、まず「Exalogic」「Exadata」といったオラクルの“Cloud-Readyな”エンジニアドシステムに載せることで最適化し、さらに、まったく同じアーキテクチャ/スタックで構成されるOracle Public Cloudへの移行/拡張を進めるというパターンだ。
NTTコムウェア テレコムビジネス事業本部の庄司修氏は、大規模なサービス/契約管理受付システムの更改(2019年第1四半期に稼働予定)において、アプリケーションサーバー188台をExalogic16台に、DBサーバー22台をExadata8台に、またストレージ11台をExadata3台に集約する計画で現在進行中だと説明。さらに、現在は検証環境の一部をOracle Public Cloud上に構築するテストも行っていると紹介した。「環境構築はわずか2日でできた。コストについても、この事例では93%の削減となった」(庄司氏)。
2つめの移行パターンは、顧客データセンター内でオラクルが管理運用するマネージドPaaS/IaaSをホストする「Cloud at Customer」を利用し、オンプレミスでのデータ保持やセキュリティといった要件を満たしながら、パブリッククラウドへ移行できるものは順次移行を進めるというもの。また3つめは、オンプレミスのワークロードを直接パブリッククラウドへ“リフト&シフト”するパターン。4つめはパブリッククラウド上のPaaS/IaaSを利用して新たなアプリケーションを開発するパターンだ。ここでは、楽天カードと三菱電機が紹介された。
楽天カード システム戦略部 執行役員の小林義法氏は、メインフレーム上の基幹システムをExalogic/ExadataおよびCloud at Customerに移行した、今年の大規模更改プロジェクトについて紹介した。ベース部分はExalogic/Exadataが担うが、そこから「はみ出る部分」についてはApache SparkとCloud at Customerを利用した。「DBへの書き込みなど内部的に非常に重要な処理については、(Sparkの)分散処理ではなくCloud at Customerで並列処理させている」(小林氏)。
また三菱電機 FAソリューション事業推進部の大谷治之氏は、製造業のスマート化に向けたIoTプラットフォームの取り組みを、同社やオラクルが参画する「Edgecrossコンソーシアム」において推進していることを紹介した。同社ではFA/IT技術を活用した製造業向けトータルソリューション「e-Factory」を展開しているが、ここにオープンな共通プラットフォームであるEdgecrossを組み込むことで、上位のクラウド/ITシステムとより簡単に接続可能になると説明する。「エッジコンピューティング領域のIoTプラットフォームは、クラウドのIoTプラットフォームと対立するものではなく、組み合わせることでより価値を生む」(大谷氏)。
クラウドジャーニーの5つめはSaaSアプリケーションの活用、6つめはクラウドネイティブアプリの構築だ。ここではサッポログループマネジメント 取締役の石原睦氏が登壇し、ポッカ合併後のシステム統合や、グローバル6カ国で8製品が採用されていたERPの「Oracle E-Business Suite(EBS)12」への統合、グローバルインフラ標準化の取り組みなどを紹介した。このインフラ標準化の中で、開発/運用初期環境についてはパブリッククラウドを、本番/安定稼働環境についてはExadataを採用したプライベートクラウド/オンプレミスDBを活用し、サーバー台数や構築期間、コア数の大幅な削減を実現している。「これらの施策でITコストは約3割削減できた。またこれまで保守投資がほとんどだったものを、戦略投資にシフトすることができている」(石原氏)。