優秀なBluetooth周りの性能
左右イヤフォンの機能は非対称で、右イヤフォンに通話用のマイクがあり、単独でヘッドセットとして使えるデザインになっている。ステレオ接続にしても、通話音声や音声ガイドは右側からしか聞こえない。
マイクのために開いているポートには、撥水性のあるメッシュ素材が張られているが、やはり水圧がかかると弱い。よって耐水性能はIPX4の防滴まで、ということなのだろう。
操作ボタンは右がシーソー式の3接点タイプ。前後を押して音量の操作、中央がマルチファンクションボタンで、再生一時停止、着信終話、SiriやGoogleアシスタントの呼び出しに対応する。
左イヤフォン側にもボタンがあり、これで接続機器の切り替えができる。イヤフォン本体に7台までの接続設定が保存され、このボタンでそれら機器との接続を循環式に切り替えられる。スマホやタブレットなど複数の機器でイヤフォンを共用する場合、これはかなり便利に使える。接続中の機器名も音声で読み上げてくれる。
Bluetooth周りの性能も優秀で、まずフェージングのような低級な現象とは無縁。左右間のドロップも含めて、音切れも少ない。もちろんゼロではないが、たまにドロップが起きると「ああ、そういえばトゥルーワイヤレスだったっけ」と驚くくらいの頻度でしかない。動画再生時の音ズレもごくわずかで、ミュージックビデオの再生でもストレスを感じない。
が、もちろんいいところばかりでもない。
操作系と装着性は人を選ぶかも
気になったのは右の操作ボタンが固いこと。ダブルクリックや長押しなどの操作にけっこう力がいるので、指の力が弱い女性にはつらいかもしれない。ここは実機を触って確認してほしいところ。
イヤーチップは「StayHear+ Sportチップ」で、BOSEのほかのスポーツモデルにも使われているもの。このイヤーチップは耳に押し込むというより、耳孔の上に押し当てる感じで、スタビライザー付きの割に着脱性はいい。代わりに一般的な密閉カナル型より遮音性は低いので、そこはトレードオフと理解したい。
もうひとつはフィッティングの自由度にある。このモデルの場合、イヤフォンと耳はイヤーチップ以外で接する部分がなく、かつ長めのノズルでイヤフォンのマスを外側に逃しているので、耳に重りをぶら下げた格好になる。したがってフィッティングはかなり重要だ。
もとよりスポーツモデルは、靴のサイズやメーカー選びと似たようなシビアさがあると思うのだが、私の場合、このイヤーチップとの相性があまり良くない。付属するSMLの3サイズのうち、Mは外れにくいが、若干痛みを感じる。さりとてSではややルーズで、動くと外れやすい。
音楽を聴くだけならSで十分なのだが、もし私がスポーツモデルとしてイヤフォンを選ぶなら、このモデルはいったん保留にして、ほかのメーカーも試してみたいところ。
その際に悩ましいのが、やはり音だ。このモデルの良さは、スポーツモデルとしての機能性と同時に、今までのBOSEサウンドをしっかり踏襲しているところにある。