このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

モダンワークプレイスからMR、サーバーレス、量子コンピュータまで

MSの最新テクノロジー全部乗せ、満腹の「Tech Summit 2017」基調講演

2017年11月10日 13時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

機械学習データの前処理を簡単にする新兵器「Workbench」

 基調講演の最後には、日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者(CTO)の榊原彰氏が登壇。Ignite 2017で発表された「Azure Machine Learning Workbench」、および開発中の「トポロジカル量子コンピュータ」について解説した。

日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者の榊原彰氏

 Azure Machine Learning Workbenchは、データ分析において、「データサイエンティストが全作業の80%を費やしている」(榊原氏)という「データラングリング(データの整理、データ分析の前処理)」を支援するデスクトップアプリケーション(Azureからダウンロード可能)。Pythonを使う人にはお馴染みのオープンソースIDE「Jupyter Notebook」と統合されており、データサイエンティストは学習コストなく利用開始できる。データを機械学習にかけられる状態に整理するための機能として、データにタグ付けをする際にタグのパターンを自動認識して整える仕組みを提供する。

 榊原氏は、EMS(電子機器の受注生産)ベンダーの米ジェイビルサーキットが実際に導入している検品システムのデータを使って、Workbenchでデータタグを整理するデモを披露。検品システムでは、画像認識を使って回路基板の配線状態をチェックし、「PASS」か「FAIL」かを自動判別しているが、出力するデータに「PASS」「FAIL」以外の名称のタグが付与されるケースがある。ここでWorkbenchを使うと、大量データのタグの表記ゆれが簡単に修正できる。

米ジェイビルサーキットが導入している検品システム。画像認識を使って回路基板の配線状態をチェックする

Workbenchを使って出力データに付与されたタグを「PASS」と「FAIL」に整理

量子ゲート回路をコードで表現する「新しい量子言語」

 そして「トポロジカル量子コンピュータ」。マイクロソフトリサーチが水面下で開発を進めていたハードウェアと量子プログラミング言語が、10月のIgnite 2017で大々的に発表された。

 量子コンピュータとは、従来のコンピュータでは二進法(0か1か)のビット配列ですべてのデータを表現していたのに対し、「0と1が重なった状態」の量子ビットでデータを表現する仕組み。1量子ビットで2つの入力を同時に表現するので、1量子ビットで2つの計算が同時に可能、2量子ビットでは4つの計算(2の2乗)が同時に可能、というようにN量子ビットで「2のN乗」個の計算を同時に実行できる。

 大規模な並列計算ができる量子コンピュータのユースケースとして、「マイクロソフトリサーチは、窒素固定やCO2回収のための触媒設計の計算(100~200量子ビット)、常温で機能する超伝導体を開発するための微粒子計測シミュレーション(数百~数千量子ビット)、機械学習の計算(数百~数千量子ビット)で利用ができると考えている」と榊原氏は説明した。

マイクロソフトが考える量子コンピュータのユースケース

 量子コンピュータでは、ノイズに弱い「量子の重ね合わせ」状態を崩さないように計算を行うことが重要だ。「マイクロソフトは、ノイズ耐性が高く、ノイズがあっても修正しやすい回路方式を模索してきた。その要件を満たすものとして、フェルミ粒子の1種であるマヨラナ粒子を用いてトポロジカル量子チップを作った」(榊原氏)。

 また、新たに量子コンピュータ用のプログラミング言語を作った。「量子向けの言語は様々存在するが、マイクロソフトは可読性の高い量子言語の開発を目指した。新しい言語はF#のドメイン特化言語であり、量子ゲートの回路図をコードで表現できる」(榊原氏)。この新しい言語はVisual Studioに統合されており、開発したアプリケーションはGitHubで提供中の量子コンピュータシミュレータで動作可能になっているという。

新しく開発した量子言語は「量子ゲートの回路図をコードで表現できる」

* * *

 モダンワークプレイス、MR、サーバーに実装された機械学習機能、DevOps、サーバーレス、量子コンピュータと、マイクロソフトの最新技術をこれでもかと詰め込んだ基調講演。開発者をテクノロジーで魅了した2時間だった。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    情シス人材不足でも「採用予定なし」中小企業の意見/“従業員発のSNS炎上”6割の企業が懸念/「SNS疲れ」利用を減らす効果的方法、ほか

  2. 2位

    ビジネス・開発

    「Gemini Enterprise」に大規模導入の波 ― SOMPO・NTTデータ・Skyが描く“エージェント企業”への進化

  3. 3位

    sponsored

    キャッシュレス決済の利用シーンを広げる 三井住友カードの「stera terminal light」とソフトバンクのIoT回線

  4. 4位

    Team Leaders

    Power AutomateでSharePointリストにある申請データ一覧をメール送信する方法

  5. 5位

    YouTube

    ぶっちゃけ、あのSaaSってどう!? 情シスがガチ格付け! 本当に使えるツールを決める最強SaaSティア決定戦!!

  6. 6位

    ITトピック

    北米での成長率がすごすぎる NinjaOneとはいったい何者だ?

  7. 7位

    データセンター

    「関東・関西に次ぐDC集積地」目指す 北海道・石狩でデータセンター連合 さくら、NTT東らが参画

  8. 8位

    sponsored

    無線APにデザインは不要ですか? ブラックスケルトンモデルは今どきのオフィスにめちゃなじむんです

  9. 9位

    TECH

    プロテクティブDNSでDNSをセキュリティ基盤へ 福岡大学でも「運用課題なし」の実績

  10. 10位

    sponsored

    60年の時を超え「COBOL」がGitHub Copilotでよみがえる 勘定系アプリの“超難関”モダナイに7社が挑戦

集計期間:
2026年07月31日~2026年08月06日
  • 角川アスキー総合研究所