受講者一人一人に最適なカリキュラムをデザインする
外国語の習得は、まず文法や語彙といった基礎的な知識を蓄えることから始まる。蓄えられたら次に聞く・読むといったインプットのスキルを鍛える。そして最後に話す・書くといったアウトプットのスキルを磨くのである。これが外国語の習得に最も効果的とされるプロセスだ。このプロセスを踏めば、遠回りすることなく外国語を身に付けられる。
こうした第二言語習得研究の知見をベースに、ENGLISH COMPANYは各種のカリキュラムを受講生一人一人のレベルに合わせてデザインしている。このカリキュラムをパーソナルトレーナーがマンツーマンでトレーニングしてくれるから、3ヵ月という短い期間でもTOEICのスコアを500点台から800点前後までアップさせることが期待できるというわけだ。
よく「TOEICのスコアが800点あっても英語は話せない。だからTOEICには意味がない」との声を聞く。しかし、これは全くの見当外れだ。一般に言われるTOEICとは「TOEIC Listening & Reading Test」を指す。これは聞く・読むのテストであり、そもそも話す・書くというアウトプットの能力は測っていない。ゆえに、「TOEICのスコアがあっても話せない」というのは起こりうることなのだが、ここで考えていただきたい。正確に聞けも読めもしないのに、話せたり書けたりできるだろうか? それはろくに走れもしないのに、サッカーの点取り屋だと豪語するようなものだろう。
TOEICの点数もとれないのに、話せることなどあり得ないのだ。それでもできると言う人は、文法などがめちゃくちゃなブロークンな英語になってしまっている可能性が高い。
聞く・読むのスキルが高いということは、話したり書いたりできる素地がそれだけ整っていることに他ならない。そもそもリスニングとて容易ではない。むしろ、苦手にする人の方が多いくらいだ。ネイティブにまくし立てられた瞬間、フリーズしてしまう人も珍しくない。
日本人はリスニングが苦手。その理由のひとつに「音声変化」がある。ネイティブがひと連なりの文やフレーズを話す時、一部の音が抜け落ちたり、前後の単語が繋がって発音されたりといった音声変化が発生する。音声変化にはルールがあるのだが、大半の日本人はこのことを学校で教えてもらっていない。
たとえば、次のような一文である。
It’d be very important for him to spend a day with his family.
forは単独では「フォー」と発音するが、文中では「フォ」「フ」と弱く発音される。続くhimには、代名詞の頭のhは脱落しがちというルールが適応されるので、for himが「フォーヒム」ではなく「フォィム」に変化する。すぐ後ろのtoも文中では「トゥー」ではなく「タ」や「トゥ」と弱く短くなる。その結果、for him to spend aは「フォィム トゥ スペンダ」と音声変化を起こすのだ。「フォー・ヒム・トゥー・スペンド・ア」と思い込んでいた人には絶対に聞き取れない一文に違いない。
「個々の単語の発音なら、正確な知識をお持ちの方も多いでしょう。でも、文やフレーズの中で発生する音声変化のルールについては、ほとんどの方がご存知ありません。ENGLISH COMPANYでは文法と同じく、あらかじめ頭に入れておくべき知識として、音声変化のルールを早い段階でお教えしています」(田畑氏)
音声変化のルールを学ぶには、ディクテーションと呼ばれるトレーニングが特に有効だと、田畑氏は語る。これはリスニングした文章を一字一句、紙に書き取るというもの。この作業で、どの音を聞き漏らしたか、聞き間違えたかが明らかとなる。受講生が苦手とする音声変化をトレーナーが把握した上で、後はその音が発音できるようになるまでトレーニングしていく。自分で発音できるようになれば、その音が聞き取れるようになるからだ。
目から鱗のような話であるが、もちろんこれもENGLISH COMPANYが実施している数あるトレーニングのひとつにすぎない。そもそも第二言語習得研究にも、ENGLISH COMPANYにも「この方法で学習しさえすれば、みるみる英語が上達する」というような唯一にして万能なトレーニング方法など存在しない。
「先ほどのディクテーションが好例ですが、個別具体的な課題に対処するトレーニングがすでに数多く存在しています。英語学習でよく耳にするシャドーイングもそのひとつです。大事なのは、受講者が抱えている課題を素早く見極め、それに対応するトレーニングを選び、適切なタイミングで実施すること。これに尽きます」
英語習得のプロセスを踏んでいく過程で、受講者は必ず躓く。いったい何に躓いたのか。音声の認識なのか、意味の理解なのか、文法なのか。それをその都度見極めて、最も有効なトレーニングで、受講者の課題を解決するのが、パーソナルトレーナーだ。
ENGLISH COMPANYにとって、第二言語習得研究をベースにしたトレーニングメニューと、それを実践するパーソナルトレーナーは、いわば車の両輪。パーソナルトレーナーがいなければ、優れたメニューも画に描いた餅に終わりかねない。優れたメニューがなければ、パーソナルトレーナーも単なる個別指導者となってしまう。どちらも欠かすことができない存在なのだ。
次回は、このパーソナルトレーナーの仕事に迫ってみたい。
(提供:恵学社)