このページの本文へ

脱ブログツールを目指すMovable Type 7の目玉「コンテンツタイプ」とは?

2017年10月10日 10時00分更新

文●大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

10月6日、CMSツール「Movable Type」を展開するシックス・アパートはプライベートイベント「MTDDC(Movable Type Developer & Design Conference) 2017」を開催。同日にデベロッパープレビュー版を公開した「Movable Type 7」について詳細を解説した。

バージョンアップに合わせた4年ぶりのイベント

 MTDDCはシックス・アパートのベンダーイベントで、メジャーバージョンアップに合わせて開催されるため、開催は4年ぶりとなる。200人の応募はあっという間に埋まり、会場も満員に膨れあがった。「生まれかわるMovable Type 7のコンセプトと概要」というタイトルで、冒頭で登壇したシックス・アパート取締役 CTO 平田大治氏は、Movable Typeとシックス・アパートの4年間を振り返る。

シックス・アパート取締役 CTO 平田大治氏

 前のメジャーバージョンにあたるMovable Type 6がリリースされたのは2013年10月。同時にクラウド版もリリースし、11月にはAMI(Amazon Machine Image)形態の「MT for AWS」も提供を開始。2015年にはMovable Type 6.1とともに、マネージド型のMovableType.netもスタートさせ、その後、順調にバージョンアップを重ねてきた。その一方で、シックス・アパート自体は従業員が株を買い取るEBO(Employee Buy Out)形式で元の事業会社から独立するとともに、リモートワークを核とする働き方制度である「SAWS」の導入でプロダクト開発に専念できる体制を整えてきたという。

 15年前に初めて触れたという平田氏は、Movable Typeのメリットを複数挙げる。もっとも大きいのはプログラミング言語ではなく、MTML(Movable Type Markup Language)を覚えるだけで簡単に使えること。またコンテンツパブリッシングの柔軟性、高いセキュリティ、プラグインやAPIなどによる拡張性などが挙げられるという。「よく知られた製品だけに攻撃も多かった。そのため、ソースコードも公開し、バージョン2や3あたりで鍛えてもらった。セキュリティの専門家にも見てもらった」(平田氏)。

Movable Type 7では「コンテンツタイプ」の概念を導入

 もともとブログツールとしてスタートしたMovable Typeだが、企業での利用が増えるとともに、企業向けのサイト管理ツールの色を強めていった。その後、前バージョンではData APIを備え、コンテンツパブリッシングプラットフォームへと成長している。現在ではサーバーレベルで柔軟な運用が可能なソフトウェア版、MT for AWS/Azure、安定した運用やバックアップ、プラグインなどを利用可能なクラウド版、登録するだけで使えるCMSのMovableType.netなど多彩なプロダクトが用意されている。

「コンテンツタイプ」で実現されるデザインとコンテンツの分離

 続いて平田氏は、新バージョン開発コンセプトにつながるWeb事情について整理する。まずは構築だけではなく、運用や更新も容易にしたいというニーズが増えているほか、マルチデバイスやAMP、シンジケーションなどへの対応が求められているという。また、ブログツールと異なり、チーム体制でも必要になってきている。これに対して新バージョンのMovable Type 7では新たに「コンテンツタイプ」という概念を搭載する。

 ブログツールからスタートしたMovable Typeはもともとテキストベースの記事(エントリ)単位でコンテンツを管理しており、さまざまな情報はいわゆる「本文」に記述したり、別途でカスタム フィールドを用意する必要があった。しかし、Movable Type 7ではさまざまな要素(エンティティ)を埋め込むコンテンツタイプをゼロから設計でき、これらをブロックエディタで組み合わせるという方式に変更される。「エントリ」や「ページ」以外の名前を付けたり、タイトルを必須としないコンテンツも作れるようになる。

6以前はエントリ+カスタムフィールド、7ではコンテンツタイプを一から設計できる

 スライドではイベントページの例が出された。たとえば、開催日時、イベント名、タグ、説明文、会場、講師などは、それぞれコンテンツタイプとフィールドとしてMovable Type 7のGUIから定義できる。メリットはさまざまだが、大きいのはデザインとコンテンツの分離が促進され、コンテンツの使い回しが容易になること。たとえば、講師の情報が更新されたら、そこにリンクされたセミナーの講師情報も一斉に更新できるといったことが可能になる。もちろん配信する形式もカスタマイズでき、コンテンツのライフサイクルに合わせて適切なケアを行なえるという。

イベントページにおけるコンテンツタイプとフィールドの例

 Movable Type 7は同日、デベロッパープレビュー版が公開され、GA(一般リリース)は2018年4月を予定している。

■関連サイト

Web Professionalトップへ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています