世界最先端のテクノロジー情報をお届けするグローバルメディア「MITテクノロジーレビュー」から、ビジネスに役立つ注目のテック企業の最新動向、イノベーションにつながる最新の研究内容をピックアップして紹介します。
ネイチャー掲載で年収20倍、中国の報奨金制度の実態が判明

「ネイチャー」なら最高16万5000ドル、「米国科学アカデミー紀要」なら3513ドル——。論文掲載によって中国の科学者が得られる報奨金制度が調査によって明らかになった。金銭を動機とする研究について、欧米の科学者からは嫌悪と懸念の声が上がっている。
奇しくも日本では京大iPS細胞研究所CiRA(サイラ)の「支援のお願い」が話題になったタイミングですが、お隣り中国では研究者への報奨金制度の実態が明らかになりました。学術誌への論文掲載によって大学から研究者へ報奨金が支払われるというものですが、もっとも評価の高いネイチャー誌の場合の報奨金は大学教授の年収のおよそ20倍となる16万5000ドルとなるのだそう。ネット上では「研究しない教授が高収入な日本よりマシ」「実力主義で何が悪い」との声も上がっていますが、一方で盗用やゴーストライターへの発注など、不正も増えているとのこと。となるとそのコストは誰が負担するのか、問題になりそうです。
MITが選ぶ、2017年の 若手イノベーター35人 発表にあたって

MITテクノロジーレビューは2017年版「35歳未満のイノベーター35人」を選出した。これから世界を変えていく若き発明家、開拓者、起業家、構想者、そして博愛家たちを紹介する。
MITテクノロジーレビュー編集部が毎年選出している「35歳未満のイノベーター」が発表されました。残念ながら日本人は選ばれていませんが、世界ではいまどんなテクノロジーが注目されているのかがわかる、必読記事です。
ニューラルネットで「ミツバチのダンス」解読、大量死の謎解明へ

マシン・ビジョンやニューラル・ネットワークでミツバチの尻振りダンスを解読する研究が進んでいる。食物供給に影響するミツバチの行動をより正確に把握できるようになりそうだ。
ミツバチが食料のある場所を示すためにする「尻振りダンス」を機械学習で解明しようという試みです。ここのところ研究に機械学習を活用する動きが活発ですが、生物行動学の分野でも新たな発見へとつながりそうです。
グーグルの研究者に聞いた、AIが作曲できてもギャグは苦手なワケ

機械学習によるアートや音楽の制作を研究するグーグルのオープンソース研究プロジェクト「マジェンタ」のリーダーに、プロジェクトの現状を聞いた。まだ準備段階だが、コンピューターに冗談を言わせる研究も始めているという。
グーグル・ブレインでAIと音楽を研究しているダグラス・エック博士へのインタビュー。創造は模倣から始まるといいますが、AIの時代にはオリジナルとはなにか? という議論がますます活発になりそうですね。
利用者は5億人超、謎のAI企業の音声アプリが変える中国の風景

中国では新しいテクノロジーがものすごいスピードで日常生活に溶け込んでいく。アイフライテックが開発した音声による自然言語処理もその1つだ。音声入力アプリのユーザー数は5億人を超え、自動車や医療などの分野でも使われ始めている。
最近、中国で仕事をしている人に話を聞くと「中国(の都市部)はすごい」と口を揃えます。屋台でも現金を使う必要がなく、なんでもスマホで完結。無人コンビニやシェアバイクなども一気に普及し始めているようです。そんな中国でいまホットな「音声認識テクノロジー」に関するレポートです。
太陽光から「太陽熱」発電へシフトするトランプ政権の深謀

米国エネルギー省は集光型太陽熱発電の技術を推進するために6200万ドルの投資をすると発表した。しかし、再生可能テクノロジーの推進者たちは手放しで喜ぶわけにはいかない。トランプ大統領は、太陽光発電への支援を減らして、同技術の進歩を減速させようと企んでいるかもしれないからだ。とは言え、集光型太陽熱発電には太陽光発電の課題を解決できる長所がある。
集光型太陽熱発電は熱を貯蔵できるメリットがあり、これから研究開発に力を入れるべき、との指摘がある一方、化石燃料を推進するトランプ政権が太陽光発電の普及を遅らせるための施策ではないか?との疑惑も。
"「クリスパーよりすごい」で 1億ドル集めた 謎の遺伝子編集企業の正体

遺伝子編集技術のCRISPRが注目されている一方で、ある新興企業がCRISPRを使わない遺伝子編集技術を発見したと主張して注目されている。しかし、すでに1億2700万ドルもの資金を集めた同社の遺伝子編集技術に対して「データの裏付けがない」と懐疑的な科学者もいる。
クリスパーといえばノーベル賞候補にもなった遺伝子編集技術ですが、ホモロジー・メディシンズはより安全でシンプルな方法を発見したと発表しました。「メスを使わない手術」「ハサミを使わない洋服の仕立て」のようなものというテクノロジーの中身がいま、議論になっています。
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