8月から10月まで、全国7会場を回るniconicoの地方巡業イベント「ニコニコ町会議 全国ツアー2017」。9月2日には、折り返しとなる4会場目の「新潟県新潟市」にて町会議を行ない、歌手の小林幸子さんやniconicoの有名ユーザーらが出演して、集まった観客を大いに沸かせていた。現地の熱気をレポートしていこう。
年齢層が入り乱れる「カオス」な会場
町会議は毎年春、千葉県の幕張メッセにて開催する一大イベント「ニコニコ超会議」の出張版という位置付けだ。過去6年間、50会場近くでやってきたわけだが、距離的に東京に近いせいか新潟での町会議は今回が初となる(その代わりか、今年は四国での予定はない)。
その町会議は、地元のお祭りとのコラボが恒例で、新潟では西蒲区(にしかんく)上堰潟公園(うわぜきがたこうえん)を会場とする「わらアートまつり」との共催となった。わらアートまつりでは、米どころである新潟を象徴する「稲わら」を使い、東京の武蔵野美術大の学生と市民が共同で制作した6つの作品を広大な園内に展示していた。
さて、新潟の町会議で筆者がいちばんいいなと感じたのは、年齢層の幅広さだ。歌ってみた、踊ってみた、ボーカロイド、描いてみた、ニコニコ技術部──。niconicoのコンテンツは、普段は混じり合わない人々が同じ場所に集まることで何らかの化学反応が起こり、予測不能のカオスが生み出されるという背景で育ってきた。
町会議もその文脈に沿っていて、たとえば初年度の八丈島など、普段は絶対にネットでniconicoを見ない層が来てしまい、「なんだかわからないけどやたらと盛り上がって楽しそうなイベントだなぁ」と魅了されて、渾然一体となっていく様が面白い。今回でいえば、小林幸子さん目当てのおじいちゃん、おばあちゃんが大勢集まっていて、客層の地殻変動を起こしていた。
ご存知の方も多いかもしれないが、小林幸子さんは新潟が地元となる。そしてniconicoでも「ラスボス」と呼ばれてユーザーに非常に親しまれており、超パーティーなどのイベントにも多数登場している。町会議の出演は2015年の大阪以来、2年ぶりだ。大阪ではアクセス性がいいこともあってか見渡す限り若者ばかりだったが、新潟では地元の年齢層高めな方々が午前中の開場からステージ前にやってきて、ラストの小林さん出演まで辛抱強く待っていたというのが大きな違いだった。
なにせステージ前なので、謎のアニメやボーカロイドの曲が大音量でガンガン流れまくり、DJの「ボカニコ」タイムには観客も含めて飛びまくるわけだ。そんな過酷な環境を超えても「『推し』のステージを見たい!」という情熱は、年齢はまったく違うが、有名ユーザーにひと目会いたくて町会議にやってくる「ニコ厨」(niconicoのファン)と同じだなと伝わって来たのが素敵だった。
そんな気持ちをニコ厨側でも汲んだのか、ラストの小林さん登場時は、後ろの人でもステージが見やすいように観客が一斉に座るという出来事が起こった。みんなでひとつのステージを楽しもうと、まったく知らない人同士が心を通わせるという「優しい世界」が自然と生まれたのだ。このステージひとつ取ってみても、新潟の町会議は大成功だったと言えるだろう。
歌たった後、MCの百花 繚乱さんが生放送のコメントに「『この歌い手は売れそう』とか失礼なこと言うな!」と突っ込むと、「そういうコメントありがとう! 頑張ります! ラスボス応援してよ!」と逆手に取って、会場と生放送で「ラスボス」コールを起こしていた。若い世代も含めて、広い世代を沸かせていた小林さんはやはりさすがというしかない!
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