日本HPの「HP Spectre x2」は、3000×2000ドットの液晶ディスプレーを搭載した2-in-1タイプの12.3型タブレットだ。最大の特徴は美しい本体デザインと高いスペックを実現しながらも、ハイエンドモデルとしては価格がリーズナブルである点だ。
たとえば、「HP Spectre x2」とSurface Proの最上位モデルの値段を比較すると、差額は税別で11万円以上となる(2017年7月31日時点)。さらに「HP Spectre x2」にはキーボードカバーとスタイラスが標準で付属しているので、タイプカバーとSurfaceスタイラスだけで3万円程度かかるSurface Proに比べて価格面で大きなアドバンテージがあるのだ。Surface Proの場合、この"3万円"で悩む方が少なくないはずなので、「HP Spectre x2」のような存在はありがたいはず。
実機を検証してみたところ、確かにメーカーが「プレミアムモデル」として推すだけあって、デザインや使い勝手の面では高いクオリティーが実現されている。その一方、発熱とパフォーマンス面では、残念な部分も見受けられた。今回はそのあたりを交えながら、「HP Spectre x2」のレビューをお届けしよう。
日本HPならではの優れたデザイン、スリムで質感の高い高品質なボディ
まずは「HP Spectre x2」の外観面から。タブレット時の本体サイズは幅294×奥行き207×高さ8.0mm。実際に手にとってみると、驚くほど薄い。今回は上位モデルを試用したのだが、この中にCore i7-7560Uが入っているのが信じられないほどだ。
キーボード装着時のサイズは、幅294×奥行き213×高さ13.2mmとなる。厚みは多少増すが、それでもクラムシェル型ノートに比べて薄型だ。重量はタブレット時で約775g、キーボード装着時で約1.14kgで、個人的には持ち運びには問題ない重さ。
背面はアルミニウムとマグネシウムの合金製で、質感/剛性ともに高い仕上がりだ。本体カラーはアッシュブラックだが、明るい照明の下では暗いブラウンのようにも見える。スタンド部分と背面中央の「HP」と描かれたプレミアムマークには、アクセントとしてゴールドが使われていた。ブラックとゴールドの組み合わせは非常にスタイリッシュで、かつゴージャスな雰囲気だ。
「HP Spectre x2」では、細部の作り込みにも注目したい。たとえば本体のキックスタンド収納部分を見ると、非常に複雑な造形であることがわかる。この部分にはマグネットが仕込まれており、スタンドを本体に近づけると吸い付くかのごとくスムーズに収納可能。キックスタンドとの密着度も高く、ガジェットとしての完成度は非常に高い。
キックスタンドは最大165度まで無段階に角度を調整可能。最大角度の状態で液晶ディスプレーを押すと多少沈み込むものの、気になるほどではなかった。スタイラスによる入力時に画面がグラつかないので、筆圧が高い人でもストレスを感じることなくスムーズに利用できるだろう。
付属スタイラスは、1024段階の筆圧感知に対応している。高度なイラスト制作にはもう少し精度が高いほうがいいのだが、メモ書きや文書の校正作業には十分だ。スタイラスの動きはなめらかではあるものの、Windowsインクの「スケッチパッド」を試してみたところ、若干の遅延が見られた。ただし気になるほどではない。
液晶ディスプレーでのスタイラスの書き味はとてもスムーズだった。ただあまりにもツルツルしてしまうため線や文字を描く際に勢いよく動いてしまうので、意識的にブレーキをかける必要がある。そのぶん余計に力を使ってしまいがりなのだが、このあたりは好みがわかれるだろう。