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デジタル変革の実現に向けたステップ、自社の取り組みを紹介

社内新事業育成は「9割は失敗するがやる価値はある」CA CTO語る

2017年08月10日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 企業のデジタル・トランスフォーメーション(デジタル変革)を促進する「モダン・ソフトウェア・ファクトリ」というコンセプトを提唱するCA Technologies。ビジネスイノベーションの加速を顧客に提案するだけでなく、同社内でも新事業/技術のインキュベーションプログラムを実施しているという。

 今回は、ビジネスのデジタル化戦略に関する著書「DIGITALLY REMASTERED」もある同社 CTOのオットー・バークス氏に、現在の企業が直面する課題とチャンス、さらに同社内におけるイノベーション促進の取り組みについて聞いた。

米CA Technologies CTO(最高技術責任者)のオットー・バークス(Otto Berkes)氏

デジタル変革時代の企業に求められる2つの「ファクトリ」機能

 企業はこれまでの数十年間、業務と業務プロセスを最適化するために膨大な投資をITに対して行い、ITを活用してきた。それ自体は間違いではなかっただろう。だが、ビジネス環境が急速に変化しつつある現在、過去に築いてきたITのレガシー(遺産)が、自らを変革しようとする企業の足かせにもなっているのもまた現実だ。「われわれは自ら作った“技術の迷宮”に迷い込んでしまっているのではないか」。バークス氏はそう表現する。

 実際、多くの調査において、IT予算の80%ほどが「既存ITの維持/メンテナンス」に割かれていることが明らかになっている。おそらくは予算だけでなく人員や時間といったリソースも、大半が「現状維持」のために費やされており、イノベーションの足かせになっている。

 「企業ITリーダーへの調査でも『革新的な技術を使用することで市場優位性を得ている』と回答したのはわずか10%。ソフトウェアがビジネスを主導していく時代において、これは深刻な問題だ。理想的には、IT予算の40%ほどをイノベーションに振り分けるべきだと考えている」(バークス氏)

 リソース配分の問題だけではない。イノベーションを持続させるためには、その「仕組み」も重要だ。CAではモダン・ソフトウェア・ファクトリを提唱していることはすでに触れたが、バークス氏はこれと「アイデア・ファクトリ」とが対になり、企業におけるイノベーションを推進していくことを説明した。

 「まず、アイデア・ファクトリが新しいプロダクト、革新的なフィーチャー(特徴的な機能)、ビジネスそのもののアイデアを生み出す。そしてモダン・ソフトウェア・ファクトリが“アイデアのエンジン”として、そのアイデアを設計、構築、展開する」(バークス氏)

 アイデアの創出と実装、検証を、この2つの“ファクトリ”間で繰り返すことにより、イノベーションが発展、持続していくことになる。

 「もっとも、アイデア・ファクトリの側も、むやみやたらとアイデアを濫造すればいいわけではない。新しいアイデアに対しては『本当に顧客のためになるものなのか』という視点から検討に検討を重ね、そのうえで実装に移らなければならない」(バークス氏)

モダン・ソフトウェア・ファクトリは、ビジネスの俊敏性だけでなく、顧客体験の向上やセキュリティももたらす

 またモダン・ソフトウェア・ファクトリには、新しいビジネスアイデアを迅速に具体化できる俊敏性、エンドトゥエンドのセキュリティ、実装クオリティやパフォーマンスの改善による顧客体験向上などが求められる。これに加えてバークス氏は、創造的破壊を通じてインフラ、アーキテクチャ、技術そのものを常に刷新し“技術の迷宮”にはまり込まないようにすることも重要だと語った。そのためにはまず、開発/テスト/展開といった各プロセスの自動化を積極的に推進し、イノベーションに対するリソースの再配分を図ることも求められる。

 「現代の企業にとって、モダン・ソフトウェア・ファクトリの実現が重要である理由は幾つかある。もちろん、単に(既存ビジネスの枠内で)具体的なメリットが得られるということもあるが、その究極的な目標は、組織内でコンスタントにイノベーションを起こし、継続的に新たなアイデアを実現していくための『仕組み作り』にある」(バークス氏)

 バークス氏は、API管理製品を導入して新しい顧客体験をマルチチャネルで実現した化粧品メーカーのロレアル、DevOps製品の導入で従来1~2時間かかっていたアプリケーションのデプロイ作業を自動化し2~3分まで短縮したGMフィナンシャルなど、同社の顧客事例を紹介した。

 そのうちのひとつ、イタリア内務省では、「自らのソフトウェア・ファクトリを刷新し、ユーザー体験を改善していくために、幾つかのフェーズに分けて段階的に実現していった」と説明した。具体的には、まず「CA APM(Application Performance Manager)」を導入して既存インフラのボトルネックを明らかにし、次にID管理の「CA Identity Suite」でセキュリティを担保、最後に「CA API Gateway」を採用して、自治体や国民に対して安全にデータを収集/配布できる環境を整えたという。バークス氏は、社内にアプリケーション開発部門を持たない企業でも、一部分からでもモダン・ソフトウェア・ファクトリのコンセプトは実現していけると強調した。

8000の自治体や国民に対して選挙情報の収集や配布を行うイタリア内務省の導入事例

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