経済産業省の調査結果よりBtoC-EC市場に関するデータを取り上げました。
日本のEC市場規模がついに15兆円突破、Amazon1社の売上と並ぶ
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報告書には他にも気になる記述がありました。
近年、ECチャネルの一つとして個人間EC(CtoC-EC)が急速に拡大していることを踏まえ、本調査において、CtoC-EC市場規模推計を実施しました。平成28年のネットオークション市場規模は、10,849億円(うち、CtoC部分3,458億円)、フリマアプリ市場規模は3,052億円となりました。
経済産業省「平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」より
「急速に拡大」とある、CtoC-ECを解説します。
フリマアプリの代名詞「メルカリ」
代表的なフリマアプリは「メルカリ」です。以下の調査データからも、フリマアプリの中ではメルカリが突出しています。
話題のフリマアプリ、利用実態を調査!(マクロミル:2017年5月)
https://www.macromill.com/honote/20170523/report.htmlフリマアプリ利用経験は46.6%、昨年より10.9ポイント増(MMD研究所:2017年7月)
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1655.html
テレビCMを目にすることも多く、情報番組でも「メルカリではこんなものまで出品されている」といった形で報道され話題となりました。転売禁止の注意事項の例示が、「ヤフオクなどで」から「メルカリなどで」に変わっています。
スマートフォン視聴率データ 「Nielsen Mobile NetView」で、認知度を一気に増している「メルカリ」と「ヤフオク」の利用動向を比較します。スマートフォン限定のデータである点にご留意ください。
メルカリの利用者数
下図は、2017年5月のメルカリとヤフオクのスマートフォンに限った利用者数のデータです。
アプリとブラウザーのトータルの数字をみると、メルカリ(Mercari)の利用者は約1,376万人でスマートフォンネットアクティブユーザーの22.4%が利用するサービスですが、ヤフオク(Yahoo Auctions)は1,533万人(同24.9%)なので、ヤフオク利用者の方が多いです。
アプリに限定すると、メルカリは1,299万人(同21.1%)、ヤフオクは903万人(14.7%)でメルカリ利用者が約400万人多くなります。
トータルの利用者数はメルカリ<ヤフオク、アプリの利用者数はメルカリ>ヤフオクです。ヤフオクはトータル利用者数とアプリ利用者数が懸け離れています。ブラウザーで商品名を検索すると、ヤフオクの商品ページが上位に表示されるので、検索からのアクセスも多く含まれていると考えられます。
メルカリの利用者数は伸びているのか?
メルカリ、ヤフオクのスマートフォンによる利用者数の推移です。
メルカリは、トータルの利用者数、アプリ利用者数ともに月ごと若干の増減はありつつも増加傾向です。ヤフオクは、トータルの利用者数が減少傾向で、アプリ利用者数も増えていません。
アプリ利用者数は、1年前の段階でメルカリがヤフオクを200万人ほど上回っていましたが、差はさらに広がっています。トータルの数字でも、メルカリはヤフオクに追いつき、追い越しそうです。
「メルカリは勢いがある」と言えそうです。
メルカリは誰に支持されているのか
2017年5月のスマートフォン利用者数を性別、性年代別で集計した図です(アプリとブラウザーの利用者合計)。
メルカリは女性の利用者が多く、特に18-29歳、30代が多いことがわかります。対してヤフオクは、男性の利用者が多く、特に50歳以上の利用者数が多いです。サービスの支持層が異なることがわかります。
利用率(リーチ)に着目すると、メルカリは女性18-29歳の利用率が高く43.2%です。利用率が低いのは男性50歳以上で9.3%のみです。差は33.9ポイントもあります。
ヤフオクは利用率がもっとも多い男性40-49歳(30.7%)と利用率がもっとも低い女性18-29歳(14.5%)の差は16.2ポイントとなっています。メルカリの方が利用している属性に偏りがあることがわかります。
メルカリ利用者とヤフオク利用者は重なっているのか
スマートフォンにおけるメルカリとヤフオクの重複利用状況を集計した図です。
全体(18歳以上男女)では、メルカリかヤフオクかのどちらかを利用した人は、スマホネットユーザーの38.0%です。両方利用した人は9.3%となっています。
どの属性でも「どちらも利用」した人が存在しますが、「メルカリのみ利用」、「ヤフオクのみ利用」、「どちらも利用」の3区分では、「メルカリのみ利用」もしくは「ヤフオクのみ利用」のどちらかの数字が大きくなっています。つまり、「どちらも利用」している人が多数を占めるわけではなく、属性によってどちらのサービスを使うかが明確になっていると解釈できます。
以上、メルカリとヤフオクに絞ったスマートフォンユーザーの利用動向の比較でした。
メルカリは女性を中心に利用者数を急激に伸ばした一方で、同じく女性の趣味・嗜好に特化したフリマアプリ「FRIL(フリル)」や「minnne(ミンネ)」などが登場したり、大手ECである楽天が手がける「ラクマ」のように大型プラットフォームが登場したりと動向にも目が離せません。
今後、フリマアプリがより幅広いユーザーを獲得してCtoC-EC市場を広げるのか、現在の支持層に留まるのか。拡大の鍵はそこにありそうです。
(記事提供:D2Cスマイル)