SIMを入れ替えることなく世界中で利用できる「eSIM」や「vSIM」対応のモバイルルーターがここのところ数社から販売されています。
しかし、そんなモバイルルーターよりもっと便利な製品が登場しました。見た目は普通のスマートフォンですが、eSIMを内蔵しており、全世界でSIM無しで使えてしまう端末を中国のMVNO・Snail Mobileが発売しました。
中国でも過酷な格安SIM業界から生まれたローミングスマホ
中国のMVNOは2013年から相次いで免許が与えられ、現在は約40社が事業を展開中。しかし、中国移動などMNOが料金を値下げしたことで各社苦戦を強いられています。
そこで、Snail Mobileは国内の格安SIMの販売だけではなく、国外利用をターゲットにしたサービスを次々と開始。そのひとつが2017年5月に発売された「全世界SIM不要ローミングスマホ」なのです。
ルーターとは異なり、画面のメニューをタッチすれば操作できるので使いやすく、また専用UIが搭載されているものの、ベースはAndroidなので使い方も難しくありません。
スマートフォンにはnano SIMスロットを備えており、ここにSIMを入れて一般的な使い方もできます。
SIMが無い場合は、海外へ渡航し、現地の通信回線をつかんだ後に、スマートフォンのメニューから各地域のローミングデータパッケージを選択。モバイルペイメントで料金を支払うと、その時点から現地でデータ通信が利用可能になります。
日本でも使える料金体系! だが、安さには理由があった
気になる料金はエリア別の定額パッケージ。日本を含むアジアが3日30元(約500円)、7日60元(約1000円)。アメリカが15日80元(約1340円)、30日110元(約1840円)。
ほかに、中東が7日100元(約1670円)と15日170元(約2840円)、ヨーロッパが15日60元(約1000円)と30日120元(約2000円)、オーストラリアが7日35元(約590円)と15日60元(約1000円)のパッケージが提供されます。対応する国は合計約50ヵ国で、今後も増えていくとのこと。
もちろん、テザリングをオンにして、モバイルルーターとして利用できます。このスマートフォンさえあれば、どの国に行ってもローミングよりも安い料金でデータ通信できるというわけです。まるで夢のような製品ですね。
ところが、実のところ欠点もあるのです。それはスマートフォンのスペックと対応する通信方式が古いということ。端末性能は2世代以上前のもので、OSがAndroid 4.4、メモリーは4GB、ディスプレーは4型480×800ドットと、かなりのローエンド。しかも、通信方式はW-CDMAとGSMのみ対応で、LTEは非対応なのです。
料金が安いのも、3Gのみ対応だからかもしれませんね。これを日本で使ったら1ヵ月約4000円で使い放題となります。
なお、アジア各国共通料金ということで、日本を含むアジアで使う場合、SIMのキャリアはタイのAISか、香港の中国移動香港あたりになると思われます。両者のアジアローミング料金は安いので、こんな料金が提供できるのでしょう。
LTE&ミドルレンジ程度での展開を希望!
2017年6月に上海で開催されたMWC上海2017の同社ブースで担当者に話を聞いたところ、LTE対応の製品も検討はしているとのこと。
同社はすでにLTE対応のeSIMモバイルルーターを開発しており、そちらは年内に販売される予定です。
SIMなしで使えるルーターも便利ですが、やはりLTEの高速通信に対応し、さらに5型ディスプレーにAndroid 6.0あたりを搭載したSIMなしスマートフォンも使ってみたいですね。Snail Mobileの次の製品に期待しましょう。
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