SUSEは、買収したHPE Helionをどうするのか。7月21日、日本OpenStackユーザー会が開催した年次イベント「OpenStack Days 2017」で、ノベルの村川了氏が、SUSEのOpenStack戦略について説明した。
SUSEは2016年12月にHPEのHelion事業の買収を発表(2017年3月に買収完了)。HPEのOpenStackおよびCloud Foundryに関する技術と人材を獲得した。
HPEは、2016年1月にOpenStackベースのパブリッククラウド「Helion Public Cloud」から撤退しているが、SUSEによる事業買収後も、OpenStack商用ディストリビューション「Helion OpenStack」、およびCloud FoundryベースのコンテナPaaS「Helion Stackato」の提供は継続している。2017年5月には、Helion OpenStackの最新版「Helion OpenStack 5.0」をリリースした。
一方、SUSEはHelion買収前から、Helion OpenStack同等のOpenStack商用ディストリビューション「SUSE OpenStack Cloud」と、Helion Stackatoに類似するコンテナPaaS「SUSE CaaS Platform」を提供している。
SUSE製品とHelion製品のマージについて、村川氏は、「HPEのOpenStackとCloud Foundry関連人材はSUSEの開発チームに移籍しており、今後はSUSEで開発・製品化したテクノロジーをHPEにOEM提供していく」と説明した。
OpenStack商用ディストリビューションは、Pikeベースになる次バージョンの「SUSE OpenStack Cloud 8」と「Helion OpenStack 6.0」から、2製品のコードはすべて一緒になり、ベースのOSもSUSE Enterprise Linuxに統一される。まったく同じ製品が、両社から異なるブランドで提供される格好だ。
Helion Stackatoについては、SUSE側で「SUSE Cloud Foundry」という新しいブランドを作り、開発を継続。SUSE Cloud FoundryのOEMとしてHelion Stackatoも存続する(コードは同一のもの)。SUSE Cloud Foundryは、SUSE CaaS Platformとは別の製品になる。
SUSE CaaS Platformは、SUSE Linux Enterpriseをベースに開発されたコンテナ用OS「SUSE MicroOS」、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」、構成自動化ツール「SaltStack」で構成されるCaaS(Container as a Services)。一方、Helion Stackatoと共有のコードで開発しHPEにOEM提供するSUSE Cloud Foundryは、Cloud FoundryとKubernetesによるCaaSだ。「SUSEとしては、SUSE OpenStack Cloudの上で、SUSE Cloud FoundryとHelion Stackatoのどちらを使ってもらってもかまわない」(村川氏)。