払い下げ品の状態はさまざま
ミリオタのため米軍払い下げ品を買うことが多いワタシ。必然的にこのコーナーでも米軍モノをご紹介する機会が多く、2回に1回は米軍関連のモノを取り上げています。
大は軍用車のハンヴィーから小は腕時計やライトまで、なんだかんだとつい買ってしまうんですが、米軍はなぜこんなにいろいろなアイテムを払い下げるのでしょう。
もちろんワタシのようなミリオタが喜ぶからと、軍用品を販売してくれているわけではありません。【払い下げ】は、三省堂大辞林によると【官公庁などが、動産・不動産を民間に売り渡す】という意味。米軍の場合も同様で、軍が所有する物資のうち、不要になった物を民間に販売しています。軍の物資は税金で購入した物であるため、不要品は少しでもお金に換えて還元するということのようです。
払い下げはDRMO(Defense Reutilization and Marketing Office)――国防再利用販売事務所が担当し、場所は日本だと沖縄、相模、三沢、岩国などです。販売は入札形式で、法人だけでなく個人でも入札資格を取得できるらしいので参加してみたいと思ったりしたこともあるんですが、問題はその量。コンテナ的な単位で払い下げされるので、1個2個ならまだしも、同じ物が数十個、時には数百個あったりして保管場所的にも金額的にも個人で購入するのは難しく、一般的にはショップで買うことになります。
ひと口に不要品と言っても、その状態はさまざま。ゴミ同然のボロボロな物もあれば、まだまだ使える物、まっさらな新品もあります。
たぶん一番多いのは、まだ使用可能な状態の物。ハンヴィーや服、ライトなどの小物類がこれにあたります。色あせたり傷や穴があったりするものの使用には問題がなく、市販品の中古品と変わりません。放出されるのは、ある程度使われてくたびれてきたり、新型が登場してリプレースされたりといったことが理由ではないかと思います。
ゴミ的な物の代表格は、穴が開いたバッグやタイヤがないキャリアケース、射撃訓練で使い終わったターゲットなど、壊れている物や軍ではもう使い道がない物。ワタシはほとんど買うことはありませんが、使える部品があったりインテリアになったりするので、こういった物も結構出回っています。
新品はストックしてあった物資のうち、使う予定がなくなったり使用期限が切れたりしたときに放出されるのだと思いますが、基準は正直よくわかりません。
先日買ったクマのぬいぐるみもなぜ払い下げられたのかがわからない物のひとつです。ぬいぐるみが支給されるわけはないので基地内の売店で売られていた物だと思うのですが、どうしてそれが払い下げられたのか……。在庫処分だったのかなぁ。
細かいところまで作り込まれたクマちゃん
このクマちゃん、正式名称はBear Forces of Americaといいます。クマのぬいぐるみというとテディベアが思い浮かびますが、現在ではテディベアはクマのぬいぐるみ全般を指すので、彼らもその一員になります。
製造元は1943年に徽章を製造する会社として設立されたIra Green, Inc.。1987年に西ドイツのシュトゥットガルトにある米軍基地の売店に登場したのが最初で、当初は特殊部隊のみだったそうですが、今では陸海空軍に海兵隊の全軍と沿岸警備隊までカバーしています。
ワタシが買ったのは海兵隊の迷彩服を着たクマちゃん。迷彩服をBDU(Battle Dress Uniform)と呼んだりすることがありますが、BDUは陸軍が2005年ぐらいまで使用していたタイプの迷彩服のことで、迷彩服=BDUではありません。陸軍ではその後ACU(Army Combat Uniform)になりましたし、海兵隊の迷彩服はMCCUU(Marine Corps Combat Utility Uniform)と呼ばれています。迷彩のパターンもMARPAT(Marine Pattern)という海兵隊独自のもので、このクマちゃんが着ているのもそれ。ドット絵みたいな柄なのでデジタル迷彩と呼ばれることもあります。
実物と同じく胸のポケットは斜めになっていて、左胸にはU.S.M.C.の文字と海兵隊マーク入り。MCCUUでは海兵隊マークは直接ポケットに刺繍されているんですが、パッチ状の物が縫い付けられていました。パンツの太もも部分にはちゃんとサイドポケットがあり、裾はヒモ留めになっています。
上着がボタン留めになっていたので、もしかして素の状態のテディベアになるのかな? と思って脱がせてみたらなんと衝撃! クマちゃんの下半身が迷彩柄! パッチワークみたいに布が切り替えでつながっています。
なんかちょっと怖い! と思ったんですが、境目を引っ張ってみたらちゃんとパンツでした。ごめんねクマちゃん。いかにも縫われてるように見えたんですが早合点だったみたいです。前後の真ん中が縫われていて結局脱がすことはできませんでしたけれども。
帽子は主に暑い地域で使われるブーニーハット。耳がちょこんと飛び出しているのがポイントです。これも実物同様、木の枝などを指して偽装するためのベルトや海兵隊マーク、空気抜きの穴など、細かいところまで再現されています。
ブーツはソフビみたいな素材。靴ヒモも一体成形されたいかにも人形っぽいクツですが、縫い目や靴底もきちんとモールドされていてなかなかよくできています。
身長はウェブサイトでは10インチ――約25.4cmとなっていましたが、もうちょっと大きいよなぁと思って測ってみたら28cmぐらいありました。ウチのはMini Bearというタイプで、ほかに19インチのLarge Bearや座った状態で12インチのLarge Bear、同じく座った状態で24インチあるExtra Large Bearがあるようです。大きいのも魅力的だけど、Mini Bearぐらいの大きさだとハンヴィーの中に置くのにちょうどいいかも。
ウェブサイトは通販専用のようで、ワタシが見たときは海兵隊は品切れ中。品切れ品の表示のさせ方がわからずほかにどんな種類があるのか確認できなかったのですが、トップページに礼装姿が載っているし、ほかの軍は制服やフライトスーツ、トレーニングウェアなどを着たクマちゃんがあるので、海兵隊もいろいろあるんじゃないかと思います。ズラリと揃えたくなってしまいますね(笑)。
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