アプリケーション環境の変化と多様化に対応する新ソリューション/製品群も紹介
「F5 Agility」新CEOも登壇、マルチクラウド時代の戦略語る
2017年06月15日 07時00分更新
F5ネットワークスが6月14日、都内でプライベートイベント「F5 Agility Tokyo 2017」を開催した。基調講演では、新CEOのフランソワ・ロコー=ドノ氏、日本法人社長の古舘正清氏らが登壇し、マルチクラウド環境への対応など現在のF5が目指す方向性や、それに基づくポートフォリオ拡張などの発表を行った。
アプリケーション環境の変化と多様化にF5としてできることは
冒頭挨拶に立った古舘氏は、F5のミッションは「いつでも、どこからでもアプリケーションを安全/高速/安定して利用できる環境を実現する」ことであると語り、アプリケーション環境が急送に変化、複雑化している現状にどう対処していくか、日本法人は何を重点施策として取り組んで行くのかを説明した。
古舘氏は、顧客のアプリケーションが“バイモーダル”なものとなり、DevOpsやマイクロサービスの採用も進んだ結果、アプリケーション環境はマルチクラウドを適材適所で利用するように変化すると説明。その変化の中で、アプリケーション基盤には「4つの課題」が生まれていることを指摘する。 ある。
4つの課題とは、オンプレミスからマルチクラウドまであらゆる環境下での「セキュリティポリシーのコントロールと統一」、「アプリの健全性やトランザクションの把握」、「IT部門とビジネス部門間の連携(ガバナンスと自由)」、そして各クラウドベンダーのテクノロジーへの「クラウドロックイン」だ。
もともとオンプレミスのハードウェアADCアプライアンスとして「BIG-IP」を提供してきたF5だが、こうしたアプリケーション環境の多様化に対応するため、パブリック/プライベートクラウドに対応する仮想アプライアンス(VE:仮想化エディション)、セキュリティ機能、F5aaS(F5 as a Service、クラウド型のセキュリティサービス)といった事業領域にも手を広げつつある。
古舘氏は、こうしたポートフォリオの拡充を通じて、F5ではハイブリッド/マルチクラウドのあらゆる環境下で同じセキュリティポリシーが適用できる実行環境を顧客に提案していると説明した。
またF5のBIG-IPでは、ロードバランシングやキャッシングなどの基本的なADC機能だけでなく、セキュリティ、ID/アクセス制御、モビリティ支援といった多様なアプリケーションサービスを提供している。
古舘氏は、こうしたサービス群がまだフル活用されていない現状を示すユーザー調査結果を示しながら、「BIG-IPは非常に多様な機能があるので、顧客にはその能力を100%引き出していただき、アプリケーションの可用性やパフォーマンスをより高めるよう実装していただくお手伝いを、われわれももっとしていきたい」と述べた。
F5では、日本市場の特殊性に対応すべく、日本独自の取り組みも展開している。その例として古舘氏は、F5ジャパンユーザーグループの立ち上げ、顧客クラウド/セキュリティインフラの無償アセスメント、テクノロジーセンターやトレーニングセンターの開設、国内顧客から聴き取った品質改善要求を製品開発にフィードバックする取り組みなどを挙げた。
ポートフォリオ拡大でGCP、コンテナ、OpenStackなどの新環境に対応
米F5 プロダクトマネジメント/プロダクトマーケティングSVPのサンギータ・アナンド氏は、6月12日に日本法人が発表した7つの新しいソリューション/製品について紹介した。これらはいずれも、前述したアプリケーション環境の多様化に対応するものだ。
パブリッククラウドにおいてはまず、新たにGCP(Google Cloud Platform)対応のBIG-IP仮想アプライアンス(BIG-IP VE)を提供開始した。対応トラフィック25Mbps~5Gbpsの幅広いインスタンスが用意されており、BYOL(ライセンス持ち込み)方式で実装できる。
またAWS、Azure、GCP対応のソリューションテンプレートも提供開始された。これは特定ソリューションを構成する際に、アプリケーションサービスの実装を簡素化/自動化するためのもの。加えて、Azureにおいて、WAFやOffice 365認証連携の機能が事前設定されたBIG-IP VEを、Azure Marketplaceから直接実装できるようになったことも発表している。
ハイブリッド/マルチクラウド環境向けには、パブリッククラウド上のF5インスタンスを自動検出し、オンプレミス/コロケーション環境とセキュアにトンネル接続できる「アプリケーションコネクタ」が用意された。アナンド氏は、これによりアプリケーションが移動しても、F5のアプリケーションサービスが一貫性を持ったかたちで自動的に追随するとした。
コンテナ環境に関しては、軽量なアプリケーションサービスプロキシ(ロードバランサー)、KubernetesやMesos/Marathonなどと連携し、コンテナ上のアプリケーションに対するサービス提供(インサート)を自動化するコンテナコネクタを提供開始している。
そしてOpenStack環境にも対応した。プライベートクラウド基盤「Red Hat OpenStack Platform」上で稼働するよう設計/検証されたターンキーパッケージでは、BIG-IP VEのほかLBaaSプラグイン、テンプレート、プロフェッショナルサービスなどがバンドルされている。アナンド氏によると、今年度中にはこのパッケージで「Cisco ACI」や「VMware NSX」などとの連携にも対応していくという。