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「SAPPHIRE NOW 2017」で新ブランド“SAP Leonardo”発表、新しいSAPへの進化

「『SAPはERPベンダー』という認識を変えたい」SAP幹部が語る

2017年06月08日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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「SAP Cloud Platform」がGCPにも対応、マルチクラウド化を進める

――SAP Cloud Platformでのグーグルとの提携も話題となりました。

ゲルケ氏:すでにAmazon Web Services(AWS)、マイクロソフトなどクラウド事業者との関係を構築していますが、グーグルが3月に開催したイベント「Google Cloud NEXT 2017」で、S/4 HANAのGoogle Cloud Platform(GCP)認定、そしてSAP Cloud Platformのサポートを発表しました。今回のSAPPHIREでは、AWS上のSAP Cloud PlatformがGA(一般提供開始)となり、Azureはベータとなりました。GCP上のSAP Cloud Platformは現在ショーケースの段階ですが、最終的にはこの大手3社にすべて対応します。

 われわれは「マルチクラウドへの対応」という方針を打ち出しています。これはオラクル、IBMなどが自社のクラウドをプッシュする中で、大きな差別化ポイントとなるでしょう。顧客は、自社のワークロードをどのクラウドで実装するのかを選択できます。これはエンタープライズベンダーではわれわれだけです。

 また、マルチクラウドを利用できるため、顧客は自社ワークロードと一緒に実装できます。たとえばSAP Cloud Platformベースのソリューションと「Office 365」とをシームレスに使いたい場合は、Azure上で一緒に実装すれば、エンドユーザーはシングルサインオンでアクセスできます。

 SAP Cloud PlatformはCloud Foundryの認定を受けており、Cloud Foundryで動作確認されているソリューションはすべて動きます。アプリケーション開発パートナーは、一度開発すればそれをSAPだけでなく、Pivotal、IBMといったほかのCloud Foundryベースのクラウドにもデプロイできるわけです。

――SAPがデータセンターを所有する必要はあるのでしょうか?

ゲルケ氏:欧州におけるデータ/プライバシー規制保護などさまざまな理由から、SAPのデータセンターソリューションを利用したいという企業は多くあります。今後も需要はあるでしょう。利用シナリオやワークロードにもよりますが、顧客は一部のデータとプロセスでマルチクラウドを利用し、グローバルのスケーラビリティと同時に柔軟性を得ることができます。これは、顧客もわれわれも得リットを得られる方法で、正しいアプローチだと信じています。

 AWS、マイクロソフト、グーグルといった、インフラに大きな投資を行っているクラウド事業者で、SAPと共に実装できることを望む顧客がいます。一方で、SAPによるコロケーションのメリットを感じる顧客もいます。SAPはその両方を提供できます。

 日本では東京にデータセンターがあります。われわれのマネージドクラウド「HANA Enterprise Cloud」向けに開設し、Business Suite、Business Warehouseなどのソリューションを動かす(マネージド型の)プライベートクラウドを提供してきました。そして2016年12月からは、SAP Cloud Platformの提供も開始しています。このPaaSの稼働率は99.9%を誇り、耐震性など日本のニーズを満たします。すでに顧客の利用は始まっており、2017年後半には大阪にも開設予定です。

シーメンス×SAPのような業界特化型アプローチを推進

――SAP Cloud Platformの現状は? 導入事例を教えてください。

ゲルケ氏:SAP Cloud Platformは1年半前に正式提供を開始し、年3桁で成長するなど成功しています。現在は約6500社の顧客が利用しており、拡張ソリューションを作成するパートナー企業は650社を数えます。開発した拡張機能は、マーケットプレイス「SAP App Center」で提供できます。顧客は簡単に試し、実装することができます。サブスクリプション形式で購入でき、決済も簡単に行うことができます。

 SAPはパートナーエコシステムの支援をさらに強化していきます。業界特化型の拡張が増えることで、プラットフォームのリーチをさらに拡大していきます。

 用途はいくつかありますが、多いのは、S/4 HANA、SucessFactorsなどを導入済みの顧客が、SAP Cloud Platformを利用して機能を拡張するという利用方法です。新しいユーザー体験、モバイルからのアクセス、社員が内部の機能にセルフサービスでアクセスできるようにするなどソリューションが開発されています。

 たとえばスワロフスキー(Swarovski)では、SAP Cloud Platformを利用して、日本の顧客向けにロイヤリティプログラムのアプリを構築しています。このシステムはERPと接続されており、どんな製品を購入したのかなどの情報がわかるようになっています。

 また、よくあるのは、小さくスタートして拡大していくケースです。まずFiori UI for Mobileを使ってアプリを作り、せっかくならAPIを使って、さらにはAPI上にアナリティクスものせ、その上に機械学習アルゴリズムも、と拡大していくことができます。SAP Cloud Platformは、1つの領域からスタートして簡単に拡張できるからです。

 シーメンス(Siemens)では、自社IoTプラットフォーム「Mindsphere」の土台としてSAP Cloud Platformを利用しています。同社のデジタルファクトリー事業部では、すべてのマシンにセンサー「MindConnect」を装着して出荷しており、これがSAP Cloud Platform/Mindsphereに接続してセンサーデータを送ります。Siemensはそのプラットフォーム上にアナリティクス、学習機能を追加しており、予測的なアプリケーションを提供しています。顧客側にあるマシンの故障予測などができるので、メンテナンスの効率化や、顧客サービス/サポートの改善が実現しました。

 シーメンスとの提携ですばらしいのは、シーメンスだけではなく、同社の巨大なパートナーエコシステムがあるという点です。エンジニアリングパートナーにもMindconnectボックスを提供し、パートナーが自社のデバイスに装着して、SAP Cloud Platform/Mindsphereのプラットフォーム上でソリューションが開発できるのです。

 このように、SAP Cloud Platformはプラットフォームであり、顧客はこれを利用して自社のエコシステムを持ち込むことができます。シーメンスのパートナーは、SAPよりもシーメンスのエコシステムに近い存在ですから、われわれSAPが直接リーチすることは困難でした。しかし、シーメンスがSAP Cloud Platformベースのプラットフォームを採用したことで、SAPを利用するユーザーが増えます。このように、SAP Cloud Platformでは業界特化型のパートナーエコシステムを引き寄せることができます。製造以外でも、保険、メディア、ヘルスケアなど、さまざまな産業が、シーメンスと同様のプラットフォームアプローチを展開できます。

 われわれがソフトウェアを提供し、企業が業界のナレッジとエコシステムを提供する――これは、最高の組み合わせと言えるでしょう。

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