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遠隔でも現場状況の把握ができるソリューション、人手不足に悩む建設業をどう救うか

ICT建機×クラウドが解決すべき現場課題、日本キャタピラーに聞く

2017年05月24日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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顧客ニーズは現場の「効率化」と「時短」、建設業への人材定着にも

 このように、Cat Connectソリューションは、ICT建機とクラウドサービスの活用で、幅広い領域での業務改善を支援する。では、実際の現場ニーズはどうなのだろうか。

 筆者のような門外漢からすると、i-Constructionのような“未来の施工”を実現したいというニーズが高いのではないかと思ってしまう。しかし石渡氏によると、現状の規制では出来形管理(施工後の完成結果を図面などで報告する)業務においては、上述の3Dプロジェクトモニタリングによるデータは使えず、あらためてUAV(ドローン)などによる3次元測量が必要となるため、現場ニーズは必ずしも高くはないようだ。それよりも、いままさに眼前にある課題、具体的には「効率化」や「時短」を解決できるソリューションへのニーズが高いという。

 「たとえばゼネコンの現場監督の一日を見ると、朝から夕方まで忙しく現場内を動き回り、夕方に事務所に戻ってから本社への進捗レポートを作成、気がつけば毎日20時、21時に――といった具合。会社としても効率化と時短を進めたいと考えている。VisionLinkを導入して、一部はその画面ショットでレポート代わりにする、あるいはレポートそのものを廃止する(本社からもVisionLinkを参照する)といった業務フローに変更できれば、とても手軽な解決策になる」(石渡氏)

 そのためにも、キャタピラーでは施工管理だけでなく、機械管理や生産管理、安全管理という4領域すべてにわたるソリューションを提供すべきだと考えていると、石渡氏は強調した。

 とは言え、石渡氏は同時に「i-Constructionは一過性のブームではなく、いずれは確実にやらなければならないことだ」とも指摘する。そもそも国交省がi-Constructionを推進する背景には、建設現場における人手不足がある。建設土木工事にかかわる企業自身にも、そうした取り組みを進めなければ将来的には生き残れないのではないか、という危機感がある。

 そうした顧客のために、キャタピラーでは「これまでの現場のやり方」を踏襲しつつ、段階的に改善していけるソリューション提案を重視しているという。一足飛びに「新しいやり方」だけを提案しても、ほとんどの顧客には受け入れられないからだ。同様に、建機への投資に関しても、まずは比較的安価な2D/マシンガイダンス機を導入し、必要になった時点でオプションキットを導入することで、3D/マシンコントロール機にアップグレードできる仕組みを用意している。

 「(i-Construction対応のために)将来的には必要になるかもしれないが、現時点でいきなり3D/マシンコントロール専用機は高価すぎて導入できないという顧客におすすめできる。オプションキットはレンタルも可能で、半日程度で装着できるので、必要になった時点で導入すればよい」(石渡氏)

キャタピラーの建機では、3D/マシンコントロール対応機能を“後付け”することができる

 キャタピラーでは、建設土木工事のICT化に関するセミナーを全国で開催しているが、その興味は高いという。今後も地方の中小企業層も含め、地道にICT化の促進を訴求していくという。

 「地方の(建設業の)顧客にとっては、『ICT』も生き残り策のキーワードになっている。就業者数の問題、特に、現場に若い人が入ってきていない。熟練のオペレーターがいなくなった10年後に、同じ仕事をするためには効率の良い機械、新技術を導入する必要があるのではないか。セミナーでそういうお話をすると、多くの参加者に同意いただける。ICTだけが鍵ではないが、ICT導入で少しでも効率化し、時短していけば、若い人も建設業に定着しやすくなるだろう」(石渡氏)

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