重要なビジネスデータは「すぐに復旧できること」も重要
故障や災害に備えるReadyNASのバックアップ《外付けHDD編》
2017年06月07日 09時00分更新
世の中何が起きるかわからない、だからこそバックアップ
──前回教えたReadyCLOUD、使ってみてどうですか?
いやぁ、ReadyNASがクラウドストレージみたいな使い方ができるの、とてもいいよね。外出先で「あのファイル持ってくるの忘れた!」って慌てることもなくなったし、同期フォルダのアプリも使いやすいし、業務がとてもはかどる。
──それは何よりです。
ただ、ここまで便利になると不安でもあるよね。ReadyNASもしょせんはコンピュータだし、急に本体が壊れることだってあるでしょ? ほら、火事とか落雷とか、水びたしになるとか、ハンマーで殴られるとか。
──なんでハンマーで殴られるんですか! ありえないでしょ!
いやまぁ、世の中何が起きるかわからない、ってことのたとえで……。ハードディスクの故障にはRAIDで備えているにしても、本体が壊れたらどうしようもないでしょ。「復旧に時間がかかるのは困るんだよねー」って、部長が言うもんだから。
──まあたしかに、故障や災害に備えて、万全の対策をとっておくのはいいことですね。では、そんな対策になるバックアップの方法について、みっちり学んでいただきましょう。
おねがいしますッ!!
故障時のリスクを軽減する5つのバックアップ手法
オフィスのファイルストレージ/NASには、業務に欠かせない重要なファイルが保存される。利用期間が長くなればなるほど、多くのファイルが蓄積されて価値も利便性も高まり、それなしでは業務が成り立たなくなっていく。反対に言えば、それが突然使えなくなった場合に受ける「ダメージ」も、どんどん大きなものになっていってしまう。
最も故障しやすいパーツであるハードディスクの障害には、第2回の記事で紹介したRAID機能で備えることができる。しかし、ReadyNAS本体もあくまで電子機器という“モノ”であり、こちらもいつかは故障してしまう可能性がある。冒頭の会話にもあるように、災害や不慮の事故で故障してしまうケースも考えなければならない。
ネットギアでは、ビジネス向けReadyNASには5年間の長期保証を標準で提供しており、本体故障時には無償交換に応じている。内蔵ハードディスクを新しい本体に移せば元どおりに使えるのだが、新しい本体に交換するまでの間は重要なファイルにアクセスできないということになる。これがビジネスに与えるインパクトは、もはや語るまでもないだろう。
そうした事態を防ぐためには、ReadyNASに格納された重要なファイルを別のメディアにも保存(コピー)しておく「バックアップ」の作業が必要である。
バックアップには、堅牢性やコスト/手間が異なる複数の手法が存在し、ReadyNASも幅広い手法に標準機能として対応している。特に重要なのは「バックアップ先の所在」だ。主なものを以下に列挙するが、番号が大きいほど、データ保護が強力になると考えてよいだろう。ただし、それと同時に、かかるコストや手間も大げさに(大きく)なっていく。
(1)同一ReadyNAS上の内蔵ハードディスク
(2)ReadyNASに直接接続された外付けハードディスク
(3)同一オフィス内のReadyNAS/ストレージ
(4)遠隔拠点のReadyNAS/ストレージ
(5)クラウドサービス(Amazon S3など)
(1)は、同じReadyNAS上の別の区画(フォルダやボリューム)にバックアップするという手法だ。ドライブ数の多い大容量ReadyNASならば最も手軽に実現できる手法だが、当然、ReadyNAS本体が故障すればファイルにはアクセスできなくなる。すでにRAIDや自動スナップショットで保護されているReadyNASで採用する意味は薄いだろう。
本体故障に備える最も簡易なバックアップ手法が(2)だ。最近は6TB、8TBといった大容量のUSBハードディスクが安価に入手できる。大容量のReadyNASを丸ごとバックアップするのは難しいかもしれないが、重要なフォルダだけをバックアップしておくならば、十分に使える。本体が故障しても、その外付けハードディスクをPCに接続すれば、すぐにファイルを取り出せるというメリットもある。
(3)のように、社内にあるほかのNASやファイルサーバーをバックアップ先にするという手法もある。大容量のものならばReadyNASを丸ごとバックアップできるし、本体が故障した場合は、こちらの代替機にアクセスすればこれまでどおり業務が継続できるわけだ。なお、ReadyNASが備えるバックアップ機能は、SMB(Windowsファイル共有)だけでなくNFSやrsyncなど多様なファイル転送プロトコルに対応しているので、バックアップ先はReadyNASに限らない。
ここまでは同じオフィス内での話だったが、(4)は遠隔地へのバックアップとなる。火災や洪水、大規模地震などの災害に備える「ディザスタリカバリ(DR、災害復旧)」対策だ。遠隔地にある自社拠点やデータセンターにあるストレージをバックアップ先とする。
もし余力があれば、遠隔拠点にReadyNASをもう1台設置することをお勧めしたい。最新のReadyNAS OS(v6.6.0以降)は「ReadyDR」という機能を標準で備えており、簡単な設定だけでボリュームやiSCSI LUNを遠隔地のReadyNASに丸ごとバックアップできる。簡単に言えば、バックアップ元で作成したスナップショットのデータを遠隔に転送する仕組みだ。
(5)のクラウドサービスも遠隔地へのバックアップであり、クラウド事業者の専門家が運用するデータセンターを利用することから、最強クラスのデータ保護を実現する手法と言える。もっとも、イニシャルコストは安価に済むが、 データの保存容量や通信容量に応じて課金される仕組みのため、ランニングコストには注意が必要だ。バックアップ容量とコストを慎重に計算したうえで、極めて重要なデータのみをバックアップするなど、上手に使いこなしていくことをお勧めしたい。
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