フェイスブックの本業である広告に対する懸念が高まっている。フェイスブックはユーザーデータをもとに、「不安」で「価値がない」と感じている10代の若者ですら、ターゲティングの対象としようとしているようだ。
フェイスブックは大量のユーザーデータを使って10代の若者(精神的に参っている人を含む)を割り出し、彼らをターゲットとした広告を売り込もうとしているようだ。
アルステクニカ(Ars Technica ) は5月1日、オーストラリアン紙が、フェイスブックが広告主向けに作成したセールストークを入手したと報じた。
アルステクニカの記事によると、このリーク文書は2017年に作成されたもので、「若者が自信を高める必要のある瞬間」をフェイスブックのアルゴリズムが判断し、広告主がピンポイントで狙えるというセールストークが書かれている。 もっと言えば、フェイスブックのセールストークには「価値がない」「不安」「敗北」「心配」「馬鹿げた」「無益な」「愚かな」「圧倒された」「ストレスを感じる」「失敗した」といった10代の心の状態が例示されており、フェイスブックはユーザーの利用状況からこれらを推測できるという。
リーク文書は、この広告が、オーストラリアとニュージーランド在住の14歳以上のユーザーをターゲットとしていることを示している。その他の国でも同様の戦略を採用しているのか? とのオーストラリアン紙の問い合わせに対して、フェイスブックはコメントをしていない。
フェイスブックは当初、リーク文書について「プロセスに問題があった」として謝罪し、関係者の「懲戒処分」の可能性にも触れていた。しかし後になって、オーストラリアン紙の記事が「誤解を招く」ものであり、ユーザーの心の状態に基づくターゲット広告は出していないという簡潔な声明を発表した。
20億人に近いユーザー数を持つフェイスブックは、地球上で最も影響力を持つインターネットサービスのひとつだ。そのため、ユーザーデータの扱いに関する論争が常について回るのは当然だと言える。たとえば2014年にフェイスブックの研究者が有力誌に発表した論文には、70万人のユーザーのニュースフィードを操作し、明るい話題と悲しい話題を表示したときのユーザーの反応の違いを確認したことが書かれている。最近では、ユーザーのオフライン時の行動に関するデータをフェイスブックがサードパーティーから買い占めており、ターゲティング広告の精度向上に活用していることも判明した。
言うまでもなく、大いなる力には大いなる責任が伴う。しかし、ユーザーデータをいじくり回してきたこれまでの歴史は、フェイスブックがユーザーへの義務を完全には理解していないことを示している。少なくともフェイスブックは、普通の人には不気味で押し付けがましいと取られかねない、驚くほどの鈍感さを何度となく見せてきた。
この事実はMIT Technology Reviewが最近、詳しく掘り下げた、一企業が持つ大きすぎる影響力への疑問につながるものだ。
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