「トミーカイラ ZZ」など、電気自動車(EV)を開発・販売する新興メーカー、京都のGLM。そのGLMが新型スーパーEV「GLM-G4」の国内初お披露目となる発表会を開催した。
国内最高額クラスの4000万円!
電気自動車のスーパースポーツ爆誕!
昨年のパリサロン2016でワールドプレミアを行なったGLM-G4だが、日本国内でのお披露目は今回が初めて。このGLM-G4、前後にモーターを2基搭載し出力は400kw、馬力になおすと540馬力という圧巻のパワー。トルクも1000Nm(102kgf・m)と、6リッターにツインターボーを積んだガソリンエンジン並みのトルクを発生させる、まさにスーパーEVだ。航続距離は、欧州の標準試験モードであるNEDCで400kmを実現。充分に実用的な数値となっている。
車体もカーボンやアルミなどの高級素材を多用し、剛性と軽量化の両立を図っている。そして内装も超豪華。そのため量産時の想定販売価格は4000万円! 生産予定台数は1000台となっている。
性能も価格もスーパーなGLM-G4。しかもこのサイズでこの性能でありながらなんとフル4座席というのも驚きだ。この性能のガソリンエンジン車であればエンジンは6リッタークラスとなり、エンジンや冷却、補記類のスペースを考えるとどうしても2人乗りにならざるを得ない。モーター、インバーター、バッテリーをバランスよく配置することでスペース効率を上げることに成功。この低いボディーで4人乗りを実現できたのはまさにEVである証ともいえる。
現段階では開発試作車であるが、内装などは市販に近いものであることが推察され、インパネ部やメーターパネル類はフル液晶のグラスコクピット化。シフトセレクターは押しボタン式となっており、こういったところもEVらしさを表現している。
テスラとは違う! ファブレスメーカーのGLMが目指すのは
電気自動車界のフェラーリ
量産EVの新興メーカーといえばテスラを思い浮かべるだろう。GLMの小間裕康社長にその点をうかがうと「GLM-G4は、より高い付加価値と官能性を目指して開発を行なっていく。いわばEVのフェラーリ」としてテスラを直接的なライバルとはしていないという。
また、GLMが既存および新興自動車メーカーと違う部分として、ファブレス生産方式の採用が上げられる。アップルのiPhoneや半導体などではおなじみの、自社では開発と販売を行ない生産ラインは他社に委託する、という生産方式だ。
ここで小間社長は「ドイツの大手自動車メーカーでも一部車種ではファブレスで生産しているモデルもある。そして世界的に見れば自動車生産台数に対して工場ラインの生産余力はかなり大きく、調査と検討は必要だが、この先規模が大きく拡大してもファブレスの自動車メーカーとして充分にやっていけると考える」としている。
GLMでは今後、これまでのトミーカイラ ZZやGLM-G4を開発する上で培った技術を、モジュールやアッセンブリとして販売することも考えているという。GLMに続くEVの新興メーカーがこれらのモジュールやアッセンブリを活用することで開発の投資を抑えることができ、それは生産車両の価格の適正化に繋がるとし、その上でEVの市場規模を拡大していきたいという狙いがあるようだ。
GLM G4は、「RoadYacht」(ロードヨット)つまり路上を走るヨットがコンセプト。静かながらも力強く、かつ優雅、それでいて何も周囲に負荷をかけない、というこれまでにない新たな自動車セグメントを目指している。それはEVというゼロエミッションなシステムでなければ成し得ないコンセプトであり、それを実現するために国内の自動車メーカーやサプライヤーからエンジニアを集結させて開発本部を設置するなど、かなり大掛かりな開発をスタートさせている。
GLM-G4は2019年の量産開始を目標に開発を進め、世界の主要な国々で型式認証も取得するという。販売拠点は日本のほかヨーロッパ、中東、香港などにも設置し、ワールドワイドな販売を計画しているという。
800万円のEVスポーツカー「トミーカイラ ZZ」を99台完売させたGLMが、4000万円で1000台を目標とする「GLM-G4」をどの様に展開していくのか、日本のみならず世界中が注目している。