このページの本文へ

広帯域を用途にあわせて柔軟に使いこなせる「Colt SD WAN」も披露

香港のメトロネットワークも構築!広帯域化を掲げるColtのアジア戦略

2017年03月02日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

3月1日、企業向けの通信サービスとデータセンター事業を手がけるColtテクノロジーサービスはアジアの最新戦略とテクノロジーアップデートを行なう説明会を開催した。シンガポールや香港でのメトロネットワーク化を進めるとともに、SD-WANやSDN/NFVもサービスに積極的に取り入れていく。

シンガポールや香港もメトロネットワークを拡充

 冒頭、登壇したColtテクノロジーサービス 代表取締役社長の日置健二氏は、Coltのビジネス概況を説明。国内で通信サービスとデータセンターを提供してKVH時代、2014年のColtへの事業統合を経て、アジアの事業拡大を進めているColtテクノロジーの方向性を明示した。

Coltテクノロジーサービス 代表取締役社長 日置健二氏

 広帯域化が加速するアジアにおいては、2000以上の商業ビルを自前の光ファイバで直結しつつ、2200以上の顧客にサービスを提供しているという。グローバルのColtとしては、自前のネットワークで世界49カ国の都市間をエンドツーエンドでつなげるというのが、他の通信事業者と比べたメリットになるという。

 国内でも積極的に投資しており、主要都市のサービスエリアの拠点数を1.5倍に増強し、通信容量は10倍以上に拡大。東阪の海底線中継所ルートも新設し、千葉の陸揚げ局も追加した。日置氏は、「東京と大阪はこれまでの倍のキャパシティで、しかも冗長化したサービスを提供できることになった」と語り、新たに名古屋の拠点追加も予定されているという。

 また、日置氏はアジア圏についてはシンガポールと香港のメトロエリアネットワーク化について解説した。2017年4月から工事を開始するシンガポールは、約90%の商業ビルを自前の光ファイバーでカバーする予定。香港でも約8割の商業ビルをカバーするファイバー網を敷設しており、2017年7月にサービスを開始するという。「日本のお客様、多くの外資のお客様が、ほぼわれわれのネットワークがつながる」(日置氏)。これらのメトロネットワークは、100Gbps以上の大容量を誇る冗長化された海底ケーブルで接続され、Coltの誇る超低遅延なルートのほか、コストを重視した標準ルート、さらにバックアップルートなどを用意し、高い可用性を実現する。

香港でもメトロエリアネットワーク化を推進

広帯域に向かう企業システムのトレンドとColtの戦略

 テクノロジー面では「広帯域」を主軸に、設備刷新や増設を行ない、最新テクノロジーへの刷新を進める。その上で、SDN/NFVを取り入れたインテリジェントなネットワーク「Colt IQ Network」を新ブランドとして展開。「他の通信事業者に先駆けて、テクノロジーを刷新し、マーケットをとっていきたい」と日置氏は語る。

 続いて登壇したColt CTOのラージヴ・ダッタ氏は、広帯域に向かう企業システムの変化とColtのサービスの戦略について説明した。

Colt CTOのラージヴ・ダッタ氏

 まず企業のシステムに関しては、自社のサーバールームからデータセンターに移っており、さらにクラウドの活用も増えているという認識。これに対してColtは主要なデータセンターと通信事業者の中継局に分散したネットワークを構築しつつ、サービスのデリバリスピードも向上していく。さらにデータセンター間を接続する「DCNet」の広帯域化を進め、100Gbps占有に対応するオプティカルのサービスも拡充する。

 次に、ダッタ氏は企業のシステムがコーポレート系ITとインフラ系ITに分離するようになった現状について指摘する。これに対してColtは、コーポレート系IT向けにIPネットワークを強化し、音声を担うVoIPプラットフォームのアップグレードやIPネットワークの大幅拡張、後述するSD-WANの強化を図るという。また、インフラ系IT向けには、光やEthernetを強化し、波長多重での伝送能力の拡張やアクセスネットワークの強化を進めるという。

 さらにサービスごとに回線を用意していた従来と異なり、広帯域のネットワークにさまざまな用途のアプリケーションを同居させるのも昨今のトレンド。これに関してはWANサービスのSD-WAN化を進め、用途にあわせたネットワークの最適化を実現する。

 SD-WANに関しては、ダッタ氏はヨーロッパで展開されている「Colt SD WAN」について説明した。Colt SD WANはインターネット接続とMPLSのWANを用途にあわせて使い分けるサービスで、優先度の高いトラフィックのみをMPLSのパスを利用できる。また、障害発生時のパスのバックアップも可能で、サービスも迅速に展開できるメリットがある。宅内機器もx86ベースの汎用サーバーが用いられており、ルーターやファイアウォール、アプリケーション監視なども可能になっているとのこと。SD-WANサービスに関しては、2017年度中の国内展開が予定されている。

ヨーロッパで展開されているColt SD WAN

カテゴリートップへ

アクセスランキング

  1. 1位

    デジタル

    実は“無謀な挑戦”だったルーター開発 ヤマハネットワーク製品の30年と2025年新製品を振り返る

  2. 2位

    ITトピック

    「全国的に大変な状況になっています」 盛岡のSIerが見た自治体システム標準化のリアル

  3. 3位

    ゲーム

    信長を研究する東大教授、『信長の野望』を30年ぶりにプレイ 「若い頃だったら確実にハマってた」

  4. 4位

    ゲーム

    92歳 vs 95歳が『鉄拳8』でガチ対決!? “ご長寿eスポーツ大会”が海外でも話題に

  5. 5位

    sponsored

    SIer/ネットワーク技術者こそ知ってほしい! 「AV over IP」がもたらすビジネスチャンス

  6. 6位

    デジタル

    ヤマハ、2026年夏にWi-Fi 7対応アクセスポイント投入 スケルトンモデルも追加で「見せたくなる」デザインに

  7. 7位

    TECH

    NTTが日比谷を「光の街」に。次世代通信技術を都市にインストール

  8. 8位

    ITトピック

    セキュリティ人材の課題は人手不足ではなく「スキル不足」/生成AIのRAG導入が進まない背景/日本で強いインフレ悲観、ほか

  9. 9位

    ビジネス・開発

    10年先にいる「将棋界」から学ぶ 強豪将棋AI・水匠チームが語る“人を超えたAI”との向き合い方

  10. 10位

    TECH

    2026年度始動の「サプライチェーンセキュリティ評価制度」 企業セキュリティが“客観評価”される時代に

集計期間:
2025年12月21日~2025年12月27日
  • 角川アスキー総合研究所