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海底ケーブル中継局や東阪間の増強、冗長ルートの追加などに投資

Coltテクノロジー、100Gbps時代に向けた国内戦略を披露

2016年10月26日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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10月25日、Coltテクノロジーサービスは法人向けの広帯域ネットワークサービスとインフラ強化に関する発表会を開催した。東京・大阪でのサービスエリアを拡張するほか、海底ケーブルの中継局や東阪間のネットワーク容量増、山ルートの新設など、積極的な投資でグローバルとの高い接続性を実現する。

広帯域サービスのためにネットワークを刷新

 Coltテクノロジーサービスは、英国のColtグループのAPAC部門として法人向けのネットワーク、音声、データセンターサービスをグローバルで展開している。親会社となるイギリスのColtは主要都市で多くの商業ビルとデータセンターを接続するメトロエリアネットワークをグローバルの49都市で展開。28カ国、200都市を結ぶネットワークは18万7586kmにおよび、2万4000以上のビル、600のデータセンターと接続している。こうしたグローバルネットワークにおいて、24時間対応の監視とサポート、エンドツーエンドのSLAを提供し、高い顧客満足度を得ているという。

数字で見るColt

 発表会の冒頭、登壇したColt CEOのカール・グリビナー氏は、デジタル変革期を迎え、企業での帯域需要が近年激増している点を指摘。「2015年は72Tbpsだったのが、2016年は88.7Tbpsにまで増加している」と語る。この背景には、ユーザーやデータセンター接続の増大、アプリケーションのクラウド化などのほか、ワイヤレスデバイスの増加や動画需要の拡大などが挙げられるという。

Colt CEOのカール・グリビナー氏

 これに対して、Coltは18ヶ月以内に100Gbpsのサービスを米国、ヨーロッパ、アジアで提供できるよう、ネットワークの刷新を進めているという。また、20にものぼる現地言語でローカルサポートできる体制を整備。「われわれの目指すのは世界で一番優れたカスタマー体験を提供できる企業になっていくことだ」とグルビナー氏はアピールする。

 続いて登壇したColtテクノロジーサービス 代表取締役社長の日置健二氏は、まずKVHからColtグループに入ったことでなにが起こったか説明する。まず光ファイバーで接続できるビルはKVH時代の1500から2万4000以上に拡大。「東京からフランクフルトのビルにネットワークをつなぐことができる」(日置氏)という。また、所有するデータセンターも7から29に増加しており、来年に竣工する千葉県印西市の新東京データセンターを加えると30にまで拡大。データセンターと接続しているサードパーティも100以上から600以上に増えたという。国内がメインの他の通信事業者に比べ、世界49都市間でグローバル回線をエンドツーエンドで提供できる唯一の通信事業者である強みをアピールし、自社ネットワークのこだわりを見せた。

Coltテクノロジーサービス 代表取締役社長 日置健二氏

 日置氏は日本での帯域の動向(Ovum調べ)と同社の投資について説明した。昨年来100Gbps以上の帯域が一気に増加している現状を説明し、他社に先んじて100Gbpsのサービスを提供してきた同社においても、データセンター接続を行なうDCNetや専用線、L2-VPNのetherXEN、すべてで帯域が増加していると説明した。また、AWSをはじめとしたパブリッククラウドとの直収も好調で、「基幹系や帯域にセンシティブなアプリケーションをAWSに置くことが増えている」(日置氏)とのこと。顧客に関しても、従来から強かった金融機関に加え、エンタープライズやSIer・サービスプロバイダーの顧客が増えているという。

日本における帯域の動向

海底ケーブルの中継所や山側ルートの新設、リングNW化に投資

 こうした現状を受け、Coltテクノロジーサービスでは日本でのネットワークインフラ投資を強化し、サービスの広帯域化に対応する。まず関東・関西でのメトロのサービスエリアの拠点数を1.5倍に拡張し、都市部のキャパシティを10倍に増強。また、東阪間にある海側ルートの通信容量を2倍に拡大するほか、新たにダイバシティルートとして山側のルートを新設する。

東京・大阪のネットワークを拡大

 さらに志摩、豊橋、千倉に加え、新たに千葉県の丸山に海底ケーブルの中継所を新設。新設の丸山中継所と従来の千葉県千倉の中継所、そして東京のメトロエリアネットワークでリングネットワークを構成し、冗長経路のプロテクションも提供する。

千倉、丸山、東京のメトロエリアネットワークでリングネットワークを構成

 今回は、こうしたインフラをベースにした10Gbps/100Gbpsの広帯域サービスが発表された。2017年1月に提供予定のColt専用線サービスは、前述した東京・大阪間、千倉・丸山中継所とメトロエリアネットワークの接続により、冗長化が可能になっている。また、L2ネットワーク網の「etherXEN」でも、2017年第2四半期を目処に10Gbpsクラスの広帯域サービスを拡充する予定。同社がKVH時代から培ってきた超低遅延、高品質、バースト対応のサービスを、より大容量で利用できるとアピールした。

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