「相手を動かすために『伝える』力」を身につけるには? 22名のエンジニアが悪戦苦闘
若手エンジニアのプレゼン力を磨け!DMM.comラボ×さくらが合同研修
2017年02月21日 08時00分更新
幹部プレゼンに向けた2時間のグループワークがスタート
休憩を挟み、午後からはさくらインターネット 取締役の伊勢幸一氏が「目的達成のためのアプローチ」をテーマとしたレクチャーを行った。アプローチには、課題を特定して現状とのギャップを埋めていく「ギャップアプローチ」と、理想を描いてそこに近づいていく「ポジティブアプローチ」の2つがあり、目的や状況に応じて取るべきアプローチは異なることを説明した。
そして14時半ごろから、この日最大の難関(?)であるプレゼン大会に向けた、2時間のグループワークがスタートした。このプレゼン大会では、両社役員4名を前に各グループがプレゼンテーションを行い、内容と伝え方の優劣を競う。当日発表されたプレゼンテーションのテーマは、「エンジニアが最大限のパフォーマンスを出せる環境に必要なモノゴト」だ。
各グループとメンターが会議室に入り、与えられたテーマについてそれぞれの意見を出しながらグループとしての結論を出し、それをプレゼンテーションとしてどう組み立てていくのかを話し合う。午前中にプレゼンテーションの基礎を学んだばかりの参加者たちにとっては高いハードルだが、各グループはそれぞれ真剣に取り組んでいた。
なぜエンジニアには“プレゼン力”がもっと必要? 両社に聞く
さて、そもそも両社はなぜ合同で研修を行うに至ったのだろうか。グループワークが進行している間に、今回のプレゼンテーション研修を企画したDMM.comラボ システムサポート部 部長の吉野優子氏、さくらインターネット 人事部 マネージャーの清水能子氏、同 マーケティング部の小松直登氏に聞いてみた。
きっかけは、さくら側からの働きかけだったという。エンジニアが主導する会社であることを対外的にアピールすることで、優秀なエンジニアの人材採用につなげたい。しかし、技術勉強会などを除けばエンジニア自身がプレゼンテーションなどで表舞台に立つ機会が少なく、その状況を改善したいという思いがあったと、小松氏は語る。
同じように、DMM.comラボ側でもエンジニアの人材育成に対する悩みがあった。エンジニアドリブンで事業を進める会社への転換を目指しており、エンジニア自身が経営層に事業企画を説明できるスキルが求められている。しかし、これまではこうした研修がなく、吉野氏によれば「プレゼンテーションが得意な人と不得意な人の差が激しかった」そうだ。
「プレゼンテーションは、時間のない決裁者に短時間で意図を伝え、決裁を取るための行為。しかし、実際には自分の言いたいことをダラダラと話すだけになってしまい、決裁者が『……それで?』となるケースも多かった」「(技術的な)ライトニングトークの機会は多いが、それは自分の得意分野を話しているだけで、(経営層を相手にするような)プレゼンスキルにはつながらない」(DMM.comラボ 吉野氏)
両社がこうした悩みを共有し、それならば一緒にやってみようと盛り上がって企画されたのが、今回の研修というわけだ。
加えて今回の研修には、若手エンジニアに“異業種エンジニアとのコラボレーションの場”を提供する、という側面もある。
「さくらではパラレルキャリア、いわゆる“複業”を打ち出していて、社外活動も推奨している。社内だけを見ていると、どうしても価値観が偏る。ふだん接することのない他社のエンジニアとコラボレーションして視野を広げる、視点を変えるという意味でも、今回は非常にいい機会だと思う」(さくら 清水氏)
ちなみに、DMM.comラボで研修参加者を募ったところ、十数人の参加枠は「5、6分で埋まった」そうだ。「ハッカソン、アイデアソンのような感覚で興味を持ったのかもしれない」と吉野氏は語った。
両社ではこうした研修を今回だけでなく、継続的に実施していきたいと考えており、今後はさらに他の企業にも声をかけ、その輪を広げていく方針だ。