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山根博士の海外モバイル通信 第320回

日本に本気のファーウェイがMate 9で提唱するスマホの未来

2016年12月16日 09時00分更新

文● 山根康宏 編集●ゆうこば

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 12月13日に行なわれたファーウェイの新製品発表会。スマートフォンのフラグシップモデルに加え、高性能なタブレットとカジュアルなウェアラブルデバイスも投入するという、ファーウェイの「本気」を十二分に感じさせるものでした。

 日本のSIMフリー市場はこれからさらなる拡大が見込まれていますが、ファーウェイはその市場をリードすべく、次々と新製品を送り出しています。

スマートフォンを含む3モデルを発表したファーウェイ

 新製品の「HUAWEI Mate 9」は、その価格がアナウンスされた瞬間に、発表会会場のあちらこちらからどよめきの声が聞こえました。

 Kirin 960、メモリー4GB、2000万+2000万画素のライカデュアルカメラという強力なスペックに加え、5.9型の大型ディスプレーを搭載。

 解像度こそフルHD(1080×1920ドット)ですが、他社の最上位モデルと比べても一部のスペックで上回る、ファーウェイの堂々たるフラグシップ製品なのです。

新しいフラグシップモデルとなる「Mate 9」

 最近はSIMフリー端末市場にもハイエンド製品が増えてきました。価格は8万円以上と高価ですが、スペックを考えれば十分なっとくできるレベルです。海外での販売価格と比較しても、それほど大きな差は感じられません。

 しかし、Mate 9はそれら他社ハイエンド品を大きく下回る、6万800円(税別)という価格で登場したのです。MVNOキャリアでは1万円前後の値引き販売が早くも始まっており、5万円以下で購入できるケースもあるようです。

Mate 9の価格は6万800円。これには会場の取材陣も驚いた

 また、春に発表された、元祖・ライカカメラ搭載の「HUAWEI P9」はシングルSIMモデルでした。海外ではP9のデュアルSIMモデル(&デュアルスタンバイ、DSDS)も販売されていますが、これまでは他国も含め、ファーウェイは「先進国にはシングルSIM、新興国にはデュアルSIM」と、投入モデルを分けていました。

 しかし、今回日本にDSDS対応機を投入したということは、「片側はMNO、もう片側はMVNO」といった使い方もできます。つまり、MNOからMNPすることなく、Mate 9を買いMVNO SIMを併用することも手軽にできるわけです。

LTEと3GのDSDSにより、MNOの回線そのままに、MVNO回線を追加することもできる

 SIMフリースマートフォン市場は伸びており、MVNOの利用者も増えてはいるものの、いま使っているMNOのSIMをすぐにMNPできないケースも多々あります。

 MNOの2年縛りを気にせずに、SIMフリー機やMVNOのSIMの導入を検討できるMate 9は、スマートフォンの新しい買い方を提唱してくれるかもしれません。

 そして、Mate 9では「購入後90日間の液晶割れ無料保証」も付けられました。MNOなら基本料金に端末保証オプションを追加契約することができますが、低料金を売りにするMVNOは端末の手厚いサポートは提供しにくいもの。メーカーが率先して無料で保証を付けることで、安心して購入することも可能になります。

 Mate 9はやや大柄なモデルのために、慣れない人はついつい手から滑らせて落としてしまうかもしれません。

発表日の12月13日から予約を受け付け、12月16日から発売された

 ファーウェイの日本の販売シェアは、現在4位。SIMフリーモデル中心にここまでのシェアを取っているのは驚異的です。

 今年投入したP9が高い評価を受けていることから、企業としてのブランドイメージも今後大きく上がっていくでしょう。

 そのP9を超える性能を持ったMate 9の登場で、ファーウェイのシェアはさらに上昇すると予想されます。もはや日本に置けるファーウェイの存在は、ニッチな位置付けではなくメジャーメーカーと並ぼうとしています。

 ファーウェイが本気で日本市場への展開を始めたことで、日本のスマートフォン市場の動きもさらにおもしろいものになっていくでしょう。

日本のスマートフォン市場でシェア4位

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