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クラウド事業は2018年までに200億ドルを目指す、「最も速い成長を遂げる計画」

MS幹部クルトワ氏、AI、HoloLens、デジタル変革までを語る

2016年12月02日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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クラウド戦略は「自信を持って正しい方向に向かっている」

――マイクロソフトのクラウド戦略の「特徴」はどこにあるのか。

クルトワ氏:Microsoft Azureの特徴は、ハイパースケールであること、信頼性されるクウラドであること、そして、高い拡張性を提供できることである。世界中に40カ所以上のデータセンターを持ち、150カ国以上でサービスを提供しており、それぞれの国のニーズにあわせた対応も行っている。

 先ごろ、ドイツにデータセンターを開設することを発表したが、このデータセンターはドイツのプライバシー法に準拠したものだ。これからも、セキュリティ、プライバシー、コンプライアンスといった側面から、新たな法規制に対応したデータセンターを展開していくことになる。これは他社に先駆けているものである。

 また、マイクロソフトは、クラウドサービスを開始した初期段階から、オンプレミスと同じ機能をクラウドでも提供してきた。AWSやグーグル(GCP)と差別化している点は、サービスやアプリをデータセンターでプロビジョニングし、パブリッククラウドで提供し、さらにハイブリッドクラウド環境を実現できる点だ。また、コグニティブサービスとの組み合わせも、マイクロソフトならではのユニークなものだといえる。

――クラウドシフトを図ることで、業績がマイナス成長に転じているが。

クルトワ氏:マイクロソフトでは、2018年までに、クラウドビジネスを200億ドルにまで拡大させる計画を掲げている。これは、クラウド分野において最も速い成長を遂げるという計画だ。

 たとえば「Office 365」のようなコラボレーションサービスは、大企業から中小企業まで幅広い企業に使ってもらっている。また、先ごろ提供を開始した「Dynamics 365」にも高い関心が集まっている。加えて、Fortune 500企業の8割は「Microsoft Azure」を使っている。

 マイクロソフトは、自信を持って正しい方向に向かっていると言える。クラウドは、マイクロソフトにとって最も重要なものであり、今後もクラウドビジネスを加速していくことになる。なお、日本マイクロソフトの業績は好調であり、日本におけるクラウド事業も成長している。

マイクロソフト自らのデジタル変革、ワークスタイル変革

――マイクロソフト自らの変革(トランスフォーメーション)はどうなのか。

クルトワ氏:マイクロソフトは、顧客企業のトランスフォーメーションに力を入れているが、それにあわせてマイクロソフト自身も変革をしなくてはならない。この5~6年は、R&Dの観点から変革への投資を行っており、その結果、Windows 10やHoloLens、Congnitive Servicesといったイノベーションを市場に提供することができた。Surfaceファミリーでは、先ごろ「Surface Studio」を発表しており、「Surface Book」も進化した。これらは、デザイナーや開発者向けの新たな製品であり、クリエイティブな世界を提案している。「Surface Dial」も、新たな使い方を提案するものになる。

 一方、セールス、マーケティングの観点では、企業が持つ能力を最大化し、顧客のニーズに対応することに力を注いでいる。販売陣容の部分に多くの投資をしており、多くのテクニカルスペシャリストを通じて、顧客のニーズに対応している。顧客の成功を実現するには、顧客のビジネスを深く理解することが大切である。その点では、グローバルでの投資を加速するだけでなく、SIerなどとのローカルパートナーシップが大切である。これによって、顧客のビジネス変革を支援していく。

――ワークスタイル変革への取り組みはどうか。

クルトワ氏:どんな国、どんな政府、そしてどんな企業を訪問しても、より少ない投資で、より多くのことを成し遂げようとしている。日本でもそれは同じだ。日本の今後の人口動態を見ると、働き方そのものを変革することが重要になっている。ツールを活用することで、新たな働き方を導入したいという機運が高まっている。

 日本マイクロソフトでは、5年前からテレワークの推進に力を注いでおり、今年は約850社が日本マイクロソフトの呼びかけに応えて、テレワークの取り組みに参加している。新たな働き方を示し、女性やシニアも働きやすい環境を作る。デバイスやクラウド、機械学習、コラボレーションサービスを組み合わせて、日本の会社が、デジタルワークスタイルを実践できる形にしたい。

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