
今回のことば
「上位2社は巨人のような存在であり、我々は挑戦者の立場である。いまは5%のシェアしかないが、見方を変えれば、あと95%もの市場拡大のチャンスがある。まずは2020年に3位になることを目指す」(モトローラ・モビリティのアイマール・ド・ランクザン会長兼社長)
PC事業と重なるモトローラのスマホ
レノボ傘下で事業拡大を図っているモトローラ・モビリティは、スマホ市場において世界3位のシェア獲得に向けて意欲をみせる。
スマホ市場はサムスン、アップルの2強から大きく離れて、3位グループとして、モトローラをはじめとする8社が3~6%のシェアでしのぎを削っている。
レノボグループのシニアバイスプレジデントと、レノボモバイルビジネスグループ共同社長を兼務するモトローラ・モビリティのアイマール・ド・ランクザン会長兼社長は、「まずは3位グループのなかで勝つことを目指し、2020年までに3位のポジションを確かなものにする。モトローラの年間出荷規模は7000万台であり、まだまだ挑戦者の立場である。謙虚な姿勢を持って挑戦していきたい」と語る。
3位という具体的な目標を掲げ、シェア拡大に臨む姿勢は、かつてのレノボのPC事業と重なって見える。
「レノボは2005年にIBMのPC事業を買収したとき、世界における市場シェアは3~4%しかなかった。誰もがレノボは先行する大手PCメーカーと戦うことはできないと考えていた。だが、いまでは3年連続で、世界ナンバーワンシェアを獲得している」と、ランクザン会長兼社長は語り「モトローラのスマホ市場におけるシェアは約5%。だが、見方を変えれば、あと95%もの市場拡大のチャンスがある。トップ2社は巨人のような存在だ。しかし、我々にチャンスがないわけではない。まずは3位を獲得し、その次には2位を追いかけることになる」とする。
シェア拡大に向けては日本での取り組みが重要に意味を持つ。
日本市場で重要なのはサポート体制の構築
ランクザン会長兼社長も「日本はスマートフォンの販売金額では世界第3位のマーケット。重要な市場である」と語る。
モトローラは2016年7月に、SIMフリースマートフォン「Moto G4 Plus」を発売し、日本市場に再参入。さらに9月にはフラッグシップとなる「Moto Z」および「Moto Z Play」を発表し、日本での事業を本格化させようとしている。
フラッグシップモデルであるMoto Zは、薄さ5.2 mmという世界最薄のスマホであり、背面のコネクターを活用すれば拡張モジュール群「Moto Mods」によって提供される各種機能を搭載可能だ。
Moto Modsについては、モトローラ固有のユニークな機能であることを強調。「スマホ業界のなかで誇ることができるものであり、スマホとしての機能に妥協することがなく、スマホを超えた新たな体験を提供できる」と位置づける。Moto Mods対応製品は、年間で20製品ほどが投入されることになるという。今後はMoto Modsの活用により、日本固有の決済機能にも対応していくそうだ。
「モトローラは日本においても人気があるブランドだと自負している。このブランド認知度を活用し、日本に対する投資を復活させたい」と語り、「リテールやeコマースの体制、サポート体制など、日本市場で戦っていく準備は万全。日本人が対応するコールセンターも設置しており、修理を行える体制も長年に渡って維持している。これからは他社よりも先手を打っていきたい」とし、日本における事業拡大に意欲をみせる。
ただ、日本においてはまだまだ足場固めの段階だとも語る。「日本ではサポート体制の構築が重要であることは、これまでのビジネス経験上理解している。そのため、より強固な地盤を作るための足場固めをしなくてはならない。その上で、市場環境を見て日本において何年後に、何位を目標にするのかを決めていくことになる」とする。
一方で、シェア拡大に向けた一手は日本以外の国でも加速している。

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