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ディープラーニングPaaS「ABEJA Platform」をパートナーに公開

機械学習を運用レベルに引き上げるためのノウハウを他社と共有

11月22日、ABEJAはディープラーニングに特化した自社製プラットフォームを「ABEJA Platform Open」として2017年冬より提供することを発表した。12月からは機能を限定したα版を無料で提供し、パートナーとともに共創を加速する。

IoTでビッグデータを溜め、機械学習で解析する時代へ

 発表会で登壇したABEJA代表取締役社長 CEO兼CTOの岡田陽介氏は、2012年からディープラーニング専業でビジネスを展開してきたABEJAの沿革を説明した。

ABEJA代表取締役社長 CEO兼CTOの岡田陽介氏

 シリコンバレーで機械学習のテクノロジーの勃興に衝撃を受けた岡田氏がABEJAを立ち上げたのは、ディープラーニングという言葉が生まれる前の2012年にさかのぼる。その後、さまざまな企業とのPoC(Proof of Concept)を経て、2013年10月からはディープラーニング向けのプラットフォーム「ABEJA Platform」をコアに据え、小売・流通業に特化したソリューション展開をスタート。これまで国内で200店舗以上で店舗改善に寄与してきたという。ABEJAへの出資総額も10億円を超え、直近ではダイキン工業との協業を発表し、製造業への進出も進めている。

 続いて、岡田氏はIoTと機械学習の関係について説明。「上りのIoTと下りのIoTがある」「通信にもセキュリティが必要になる」「ゼタバイト級のビッグデータが溜まる」といった動向を披露しつつ、IoTで蓄積されたビッグデータの解析に今後は人工知能が必要になるという論を展開した。また、これまで手動で設定していた特徴量まで学習するディープラーニングのインパクトについても解説。「ビッグデータはディープラーニングと相性がいい。ディープラーニングはデータが集まらないとうまく使えないが、IoTの隆盛でデータが集まりやすくなってきた」(岡田氏)とアピールした。

リアル世界のデータをIoTで収集し、ビッグデータを機械学習で分析する

ディープラーニングを運用まで進めるためのノウハウが凝縮

 ABEJAがビジネスの中心に据えるABEJA Platformは、ディープラーニングを活用したデータの取得・蓄積・学習・解析・出力・フィードバックまで行なうAIプラットフォーム。入力時のスキーマやフォーマット定義不要で、構造化データに限らず、非構造化データまでサポートするほか、リアルタイム処理やバッチでの処理が可能。学習フェーズでは、データのラベル付けを効率に行なうためのアノテーションツールを提供しており、学習データを効率的に生成することが可能になるという。

 今まで自社で利用していたABEJA Platformだが、今回「ABEJA Platform Open」としてパートナーに公開することが発表された。パートナーは「センサー・デバイス」「ネットワーク」「システムインテグレーション」「コンサルティング」「APIエコノミー」など5つの領域で募集され、11月22日時点で15社のパートナーが賛同している。

ABEJA Platform Openのエコシステム

 来冬の正式版に先立ち、2016年12月からは「ABEJA Platform Open α」として一部の機能が無料で公開される。「まずは触っていただくことを重視する」(岡田氏)とのことで、パートナーに対してサンドボックス環境を提供。その後、来夏から提供されるβ版、2017年冬からの正式版に関しては、サービスを有償化し、パートナーやエンドユーザーとの共創を加速する。

 発表会で岡田氏が強調したのは、ディープラーニングに特化した事業を進める中で、苦労しながら溜めてきたノウハウがABEJA Platform Openの大きな価値であるという点だ。「われわれが苦労したような部分が足かせになって、ディープラーニング分野の活用が進まないのはもったいないと思った。だから、知見の部分も含めて、公開することに踏み切った。ABEJA Platformでは、われわれが得てきた知見や最適化の仕組みが盛り込まれているので、ディープラーニングの運用を進め、ビジネスで使えるレベルまで昇華していただける」と岡田氏は語り、パートナーとの共創に向けて意欲を示した。

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