ソリューション販売に舵を切ったレノボ、ISV/販売パートナーとの協調もさらに強化
レノボがSDSアプライアンス発売、クラウディアン/ネクセンタの2機種
2016年11月10日 07時00分更新
レノボ・ジャパンは11月9日、Software-Defined Storage(SDS)アプライアンス製品2機種を発売した。Amazon S3 API準拠のオブジェクトSDS「Lenovo Storage DX8200C」と、ファイル/ブロックアクセス可能なユニファイドSDS「Lenovo Storage DX8200N」の2機種。発表会では、SDSやハイパーコンバージドインフラ(HCI)も含む、レノボのデータセンター向け製品ビジネスの戦略が説明された。
S3準拠API、高いスケールアウト性をSDSで実現するオブジェクトストレージ
両製品は、レノボ製のx86サーバー(System x3650 M5)に、クラウディアン(Cloudian)またはネクセンタ(Nexenta)のソフトウェアをプリインストールしたアプライアンスとして、レノボから販売される。販売だけでなく保守サポートについても、レノボがワンストップの窓口となる。
クラウディアンのSDSソフトウェア「Claudian HyperStore 6.0」を搭載したDX8200Cは、2Uサイズのx86サーバー×3ノードを1単位として構成されるオブジェクトストレージアプライアンス。1ノードあたり、インテルXeon E5-2630 v4×1、64GBメモリ、3.5インチドライブ(HDD)×14+2.5インチドライブ(HDD/SSD)×2、10GbEインタフェース×2+1GbEインタフェース×2を標準搭載する。最小構成(56TB×3ノード構成)価格は、1099万円(税抜)から。
DX8200Cは、Amazon S3完全準拠のAPIと、最小3ノードから数百ノード(数ペタバイト)クラスまで容易にスケールアウトできる高い拡張性が特徴。ビデオ、メディアイメージ、Webコンテンツ、一般業務ファイルなど、増え続ける大量の非構造化データを低コストで保存する用途に適している。
ゲスト登壇したクラウディアン 取締役 COOの本橋信也氏は、容量を柔軟に拡張できるクラウディアンのSDSは、パブリッククラウドやWebサービスの事業者のほか、製造業、放送局、大手量販店といった一般企業でも採用されていると説明。今後はさらに、IoTやビッグデータ、AIといった、大量のデータを取得/活用していく現場での活用も期待されると語った。
エンタープライズストレージ機能をSDSで実現したアプライアンス
ネクセンタのSDSソフトウェア「NexentaStor 5.0」を搭載したDX8200Nは、ストレージコントローラーとなるHA構成の2Uサーバー×2と、最大8台のドライブアレイ(JBOD)で構成されるユニファイドSDSシステム。1ノードあたり、インテルXeon E5-2643 v4×2、256GBメモリ、10GbEインタフェース×2+1GbEインタフェース×2を標準搭載する。最小構成価格は、763万円(税抜)から。
DX8200Nは、NFS、SMB/CIFS、iSCSI、FCといった一般的なストレージプロトコルで、ファイルアクセスとブロックアクセスが可能。高速レプリケーション、スナップショット、重複排除/圧縮など、エンタープライズストレージ機能も備える。さらにドライブアレイは、用途に応じてHDDのみ/HDD+SSDハイブリッド/SSDのみ(オールフラッシュ)と柔軟に構成できる。これにより、ファイルサーバーや仮想化/プライベートクラウド環境など、エンタープライズにおける幅広いストレージ需要に対応する。
ゲスト登壇したネクセンタ・システムズ・ジャパン代表の松浦淳氏は、ミッションクリティカル用途にも適用できる安価なユニファイドストレージを、コモディティサーバーを使って構成できるネクセンタの優位性を強調。これまでは、テクノロジーに強いインターネットサービス事業者などが顧客の中心だったが、レノボとの共同検証を経たアプライアンス製品として提供することで、より一般的な企業にも浸透していくという見通しを語った。
なお、前述のとおり、DX5200シリーズはレノボの製品として販売され、保守サポートもレノボがワンストップの窓口となる。プロフェッショナルサービスを通じて、パートナーと共にSDS導入を支援するほか、レノボ本社にある「Lenovo カスタマー・エクスペリエンス・センター」にもSDS検証ラボを設置する。
また同日、ニュータニックス(Nutanix)のソフトウェアを搭載したHCIアプライアンスにおいて、中堅中小企業向けモデル「Converged HX1000/2000シリーズ」、2Uサイズに4ノードを搭載した高密度モデル「同 HX 3700シリーズ」も発売している。
ISV/販売パートナーとアライアンスを組んで新製品を投入
レノボ・ジャパン データセンター事業本部 製品統括本部長の橘一徳氏は、「単体のサーバー/ストレージ/ネットワーク製品を売っていくビジネスから、HCIなどのソリューションビジネスへと軸足を移していく」という同社のデータセンター事業の方向性をあらためて強調した。
背景には、サーバーやストレージ単体のハードウェア市場が徐々に縮小していく一方で、“次世代”のサーバー(コンバージド/ハイパーコンバージド)やストレージ(SDS)市場が大きく成長していくという市場予測がある。今回のSDSアプライアンス投入も、そうした戦略の一部として位置づけられる。
なお、今回のDX8200シリーズ各製品の発売においては、ISVだけでなく販売パートナーも加えた3社間でのアライアンスを結んでいる。具体的には、DX8200Cにおいてはレノボ/クラウディアン/NTTデータ先端技術の3社間で、DX8200Nにおいてはレノボ/ネクセンタ/アセンテックの3社間で、それぞれ提携している。
この提携について橘氏は、これまでレノボとISV、またレノボと販売パートナーの間でそれぞれ進めてきた「Lenovo Together」プログラムの“バージョン3.0”だと説明。これまでもISV、販売パートナーとそれぞれに商品開発/共同マーケティング/共同営業のサイクルを作ってきたが、それを統合したものになると語った。
「製品発表(前)のタイミングからISV、販売パートナーと組み、市場に投入することで、できるだけ早期にビジネスをランプアップ(強化)していく」(橘氏)
なお、販売パートナーを含むアライアンスに関しては、他の販売パートナーを排除する意図はなく、まずは実績のあるパートナーと組んで市場を拡大し、他のパートナーの参入も促し支援していく狙いであると説明している。