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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第382回

業界に痕跡を残して消えたメーカー 特許問題で深い爪跡を残すOPTi

2016年11月14日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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OPTi Local Busを開発

 ちなみに1993年頃に秋葉原で見かけたのが、OLB(OPTi Local Bus)を利用したシステムである。VL-Busを先取りする形で、高速な独自ローカルバスにビデオカードをつないで性能を引き上げようというわけだ。

 下の画像がそのOLBを搭載したマザーボードであるが、右上に見えるEISAスロットっぽいものに、VL-Bus風の拡張スロットが追加されている部分がOLBである。マザーボードのシルクにも“LOCAL BUS NOT FOR EISA”と書かれていることからもわかる。

OLBを搭載したマザーボード。メーカーも不明で、ひょっとするとOPTi自身のリファレンスの可能性すらある

 このOLB、コネクターはEISA+VLBという構成であるが、装着されるET4000カードを見ればわかるとおり、VL-Bus側はほとんど配線が通っておらず、こちらは制御用の信号があるだけで、メインはEISA流用のスロットの方で通信しているようである。

ET4000カード。連載154回では“搭載チップはET4000ではなく、後述のET4000W32だったかもしれない”と書いたが、これを見る限りET4000のようだ

 OLBに利用されているチップは1991年に発売された「らしい」(データシートの日付が1991年8月になっている)86C493と86C392である。

 下の画像がそのブロック図であるが、右上につながっているXD/SD/SA/LAが、おそらくはOLBにつながっている部分と思われる。左上のCA/CDがつながっているかどうかはわからない。

86C493と86C392の構成図。CA/CDはCPUのAddress/Data、SA/LAはISAバス用のアドレス、SDはISAバス用のデータである。XDがおそらく拡張アドレスバスなのだが、データ幅は16bitのままなのだろうか?

 さてそのOLB、チップセットは1991年に登場したのだが、チップセットだけでは無理でビデオカード側の対応も必要になる。

 これが遅れた結果として、市場投入は1993年頃になったと記憶している。もっともこの頃にはVL-Busも本格的に普及してきており、またOLBはET4000しか選べないのにVL-Busはさまざまなチップを搭載したカードが出ていた。

 またマザーボードもOPTiのチップセットでないとOLBが使えないのに対し、VL-Busはチップセットメーカーが対応製品を出してきた。もうこのあたりで勝負は決まったようなもので、結局OLBはこの世代のみで終わってしまった。

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