キーボードの感触の本当のところ
同じ薄っペタだけどMacBookとは感触が異なる
さて、筆者は1日に数万文字をタイピングする仕事をしています。その関係で、内蔵キーボードがどうなるのか、注目していました。
本連載でも過去に紹介しているように、筆者は自宅のデスクや仕事場では、Happy Hacking Keyboardを愛用しています。コンパクトで、テンポ良くブラインドタッチができるので、リズミカルに文章を書いていく上では非常に重要なツールです。
タッチが軽ければと良いというわけではなく、キーを打ち込んで適度に跳ね返される感触が、次の打鍵への指の動きをスムーズに運んでくれます。
その点で言えば、MacBookから採用された薄っペタなキーボードは、以前のMacBook ProやMacBook Airに採用されていたそれと比べれば、跳ね返りを利用したリズミカルなタイピングを期待することはできません。
最新のMacBook Proでも、本体の薄型化を優先し、MacBookと同じ深さの薄っペタキーボードへ変更となりました。が、MacBookとMacBook Proを比べてみると、同じ薄っペタでも、感触が異なります。ペタペタという音は抑えられ、モコモコという雰囲気の音になりました。
加えて、スイッチとスプリングをチューニングして、Proの名を冠するにふさわしい仕上がりにしたとのこと。もちろん、前述のとおり、深さは変わらないため、劇的にタッチが変わることはないのですが。
ここはひとつ、考え方を変えなければ、このキーボードに慣れることはできないでしょう。押し込むときに力をかけてその反動を利用するのではなく、さらーっと滑らかな動きでの運指がふさわしいというわけです。
「キーを叩く」ではなく、「キーを撫でる」に近いようなタッチです。これを心がけると、キーボードからの打鍵音がぐっと静かになり、なんだか優雅な気持ちで、この原稿を書き進めることができています。
もしもMacBookや新しいMacBook Proのキーボードがしっくりこないという人は、「叩く」→「撫でる」と意識してみると、途端に素直に扱えるようになる感触がつかめるようになるのではないでしょうか。
キーボードのタッチは完全に好みだし、筆者だって会心の文が書けた後の改行は、思い切り小指でリターンキーを叩きたくなります。そんなときは、浅いプールに飛び込んだときのような鈍い感触が小指に伝わってきて、後悔するわけです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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