2016年10月17日、18日に、北海道の札幌で招待制のベンチャー、スタートアップ、投資家などが集まる業界関係者向けイベント“B DASH CAMP 2016 FALL IN SAPPORO”が開催された。次のステージ進出を狙う日本、アジアのベンチャー、スタートアップ企業がエントリーしたプレゼンイベント“ピッチアリーナ”では、初日の17日に23社による予選が行なわれ、18日のファイナルに進出する企業が選ばれた。
国境をまたぐ仮想化クラウドSIMソリューション
ファイナルは、予選を勝ち抜いたCombinator、ウィンクル、Maverick、Mobingi、NURVEと、特別枠で登場したSimgoの6社によって競われ、これを制したのはクラウド運用の仮想SIMソリューションを提供するSimgoだ。
Simgoは、国境をまたいでもスマートフォンのSIMを挿しかえすることなく、ユーザーの位置情報に基づき動的に複数のSIM情報をシームレスに変えて通信が可能になる仮想型SIMのソリューションを開発している。SIM情報をクラウド上で運用できるため、スマートフォンだけでなく今後増大する見込みのIoT機器への導入にも期待がもてる。提供先に合わせたソリューション展開を行なっており、国をまたいで使うWiFiルーターにもすでに採用されているようだ。
社員が紹介するリファラル採用向けツール
準優勝に選ばれたのは、リファラル採用向けツール『Refcome(リフカム)』を提供するCombinator(コンビネーター)だ。社員の友人、知人を紹介してもらうリファラル型採用方式は、質と定着率の高い候補者をコスト削減しながら採用できるため、アメリカでは採用全体の約30%を占めている。ただ運用が難しいことから、うまくいかないというケースも多い。Combinatorが解決するのはリファラル採用活性化のためのツールの提供だ。人事が社内に必要なポジションの募集を開示したり、メッセージングなどで渡せる招待用URLを発行したりと運用をシンプルにし、かつ効果測定もしっかりとできるという。
VRを超える俺の嫁召喚装置
今回のピッチでもおいしいところを総取りしたのが、ウィンクルの『Gatebox』だ。スポンサー賞のペイパル賞とgumi賞をダブルで獲得。アスキー読者にはおなじみかもしれないが、好きなキャラクターといっしょに暮らせるバーチャルホームロボット。筒状の筐体に、リアプロジェクションを用いて、キャラクターを投影。ユーザーの行動を認識して学習、日常生活でユーザー自身にあったコミュニケーションを実現してくれる。今回は開発中のため、ピッチ映像の撮影はNGだったが、早い段階で次の情報を届けられそうだ。
そのほかファイナルに残ったのは、韓国で動画編集アプリ『ALIVE』を開発するMaverick。撮影した動画にエフェクトや静止画、動画、テキストを組み合わせて表現豊かな映像を簡単につくれるサービス。すでに世界で300万ダウンロードを達成しており、アメリカでのユーザーが50%を占める。月間15%で急成長しているサービスで、動画編集機能だけでなくソーシャルプラットフォームとしての地位も狙い、映画配給会社との提携し、コンテンツ供給も狙っている。
前回2016年3月の開催では、労務クラウドサービス『SmartHR』が優勝したが、今回のピッチイベントもコンシューマ向けだけでなく、SaaS型のB2Bベンチャーの活躍も目立っていた。ファイナル進出を果たしたNURVE(ナーブ)は、VRコンテンツのプラットフォームを開発している。不動産会社の内見用や旅行業界向けにVRシステムを卸しているB2Bの企業だ。同じくMobingi(モビンギ)は、AWSなどのクラウドサービスの運用を行なうツール。運用を自動化することでコストカットを達成する。
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B Dash Ventures