対象物の大きさや距離がわかります
購入したのは米軍のM24双眼鏡。見てのとおり、対物レンズと接眼レンズが一直線になっているダハプリズム式です。米軍の双眼鏡にはもうひとつポロプリズムのM22というのがあって、そっちもかなり魅力的なのですが、ちょっと大きいのとお値段的に1.5倍ぐらいするので断念。M24もそこそこお高いのですが、たまたま新品の半額で中古品を見つけたので即ゲットした次第です。
双眼鏡にはよく7×28のような数値が書かれています。これはその双眼鏡の主要諸元で、7×28はM24のもの。7は倍率を表わし、28は対物レンズの直径をミリで示しています。
M24のメーカーはいくつかあって、ウチのやつはL-3 Communications製。ロッキード・マーティンから分離してできた会社です。そのほか、現在は富士フイルムに吸収されたフジノンや、ノースロップ・グラマンの物もあります。
米軍払い下げ品ではおなじみのNSN(National Stock Number)は1240-01-499-3547。DLAなどで始まるコントラクトナンバーは見当たりませんでした。コントラクトナンバーは発注元の部門や予算年度、契約番号が記されています。記載がない場合もありますが、もしかしたら支給品ではなく、基地内で販売されていた個人購入品なのかもしれません。いずれにしてもMIL SPECには準拠しています。
軍用双眼鏡が普通の双眼鏡と違うのは、覗くと目盛りが見えるところ。これはレティクルと呼ばれるもので、目盛りの単位はミル。聞き慣れない単位ですが、角度を表わしています。M24の場合、目盛りの1は10ミルとなっています。
ミルという名称はもともと1ミリラジアンから取られた名前だそうです。懐かしい言葉ですね、ラジアン。実生活で使うことなんて一度もなかった単位ですが、まさかこの歳になって再会するとは。
半径「r」の円があったとして、半径と同じ長さのヒモを円周に貼付けると、そのヒモの両端によって作られる角度はrの大きさに関わらず一定になります。このときの角度が1ラジアンです。
円周は2πrなので、1ラジアンを角度に変換するにはrを2πrで割ったものに、360をかければオーケー。1ラジアンは360度/2πで約57.3度になります。1ミリラジアンはその1/1000なので約0.0573度。そして円周をミリラジアンで表わすと、360度/0.0573度なので約6283ミリラジアンになります。
この6283を切りのいい6400にして、360度/6400としたのが1ミル。角度でいえば0.05625度になっています。
ややこしいですね。自分でも書いていてこんがらがってきてしまいます。
学校で習った当時も、こんな中途半端な数字がなんで役に立つのか不思議でしたし、正直いまでも不思議なんですが、実生活でちょっとだけ便利なところがあります。それは1km先にある1mの物を見たときの角度が、ほぼ1ミルであるということ。つまり、対象物の大きさが何ミルかを計測すれば、対象物までの距離がわかっているときはその大きさがわかり、大きさがわかっているときは距離がわかるということになります。
計測の式は、
対象物の大きさ(m)=対象物までの距離(km)×ミル
対象物までの距離(km)=対象物の大きさ(m)/ミル
になります。
写真の場合、電柱までの距離は約290mでした。高さは42ミルほど。これを式にあてはめると、0.29×42で12.18mとなります。だいたい12mですね。逆に電柱の高さが約12mとしたら、12/42で0.286。約286mという感じです。
もちろん距離や大きさには誤差がありますし、そもそも目盛りも正確に読み取れるわけではないので、だいたいの目安といったところです。でもちょっと面白い機能ですよね。
ちなみに現在ではNATO各国でミルを使っていますが、第二次世界大戦時のドイツではシュトリヒと呼ばれていました。ガルパンおじさんなら聞き慣れた単位ですよね(´ー`)
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