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盛田 諒の「アスキー家電部」 第51回

タカラトミー たまごの殻をぶちやぶって謎生物が生まれる「うまれて!ウーモ」

2016年10月07日 06時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 突然だがわたしの奥さんは妊娠しており来年3月に出産予定だ。映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を見たときイモータン・ジョー様がなぜ自分の子供に対して過剰なまでの期待をもつのかふしぎだったのだが、実際に超音波エコーを見た今ならジョー様の気持ちがわかる。誕生とは得がたい奇蹟だ。

 長くなったが、タカラトミーが7日、たまごをなでたりしていると鳥らしき謎生物ウーモのおもちゃが自ら殻をぶちやぶって誕生する「うまれて!ウーモ」を発売した。希望小売価格9504円。商品本体であるウーモのたまごは属ごとに「ペンコ属」「リューグル属」2種類。両属とも4色があり、ウーモは合計8種類。何色のウーモが出てくるかは孵化するまで分からない。対象年齢6歳以上。

ウーモ「リューグル属」(左)「ペンコ属」(右)

属ごとに4色ずつ、全8種類のウーモがいる

 動物おもちゃは一般的だが、たまごのときからコミュニケーションがとれるのがおもしろみ。

 たまごの円周部にタッチセンサーを内蔵。なでたり、こんこんノックしたり、傾けたりすると、「きゅるる」「うきゅー」などと鳴いたり光ったりして反応する。やがてたまごの内部でウーモが回転しながらくちばしで殻をつつきはじめてヒビが入り、完全に割れる。孵化にかかる時間は20~30分ほどだ。

 孵化の最後は殻からウーモをもぎとるようにしてやや強引に誕生させる。かなりの力が必要なので保護者の手伝いが必要になる。もちろんメーカー非推奨だが子供が力まかせにたまごをぶち割ってウーモを引っ張りだしてしまっても無事に生まれることは生まれるそうだ。ウーモが少し心配になる。

ノックするとぶるぶるノックを返してくる

なでたりさすったりしているとひび割れてくる

完全に割れたらぱかっとウーモの頭が見える

力を入れてもぎとるようにウーモを誕生させる

ビニールコーティングされた状態で生まれたウーモ

 発表会では子役の鈴木梨央ちゃんが孵化にチャレンジ。なでたり叩いたりして少しひびが入ったが、孵化するまでの時間が長いために「今日は孵化寸前まで温めたたまごを用意しています」と、別のたまごに交換されてしまった。梨央ちゃんはカッコウの托卵のような格好になったが、生まれたウーモには「うわ~かわいい」と興奮。「しっかり育てたいと思います」と母親のように決意を述べていた。

鈴木梨央ちゃん(11)「しっかり育てたいと思います」

 たまごから孵化したあとのウーモは「ベビー」「キッズ」「ジュニア」の3段階で成長し、成長段階それぞれ別の遊び方ができる。

 ベビー時代は「傾けるとごはんを食べる音を出す」「こちょこちょすると笑う」「飛行機のように振りまわすとテンションが上がる」などシンプルな遊び方。キッズに育つと「何かいうとまねする」「手を叩くと歩く」「踊りをおどる」と複雑になり、ジュニアになれば「目の色で“旗あげ”をする」「質問に対して『はい』『いいえ』で答える」など知的なゲーム遊びもできるようになる。

 要は子供のようなリアクションをしてくれる。音声も「あー」「あうー」などあかちゃん的で、触れていると一瞬ウッと猛烈にかわいく思えるときがある。

 造形はかつてのヒット製品「ファービー」を思い起こさせるところもあり、世代的にはそちらの面でもウッと来る。ファービーは電池切れが悲しかったなあ……。

 ちなみに踊りをおどっているとき頭をタッチするとなぜかドラムの音が聞こえて子供も一緒にリズムを刻める。また最後に声まねした言葉をおぼえる機能もあり、「だいすき」などと言っておくと何気ないタイミングでウーモが「だいすき」と言ってくれる。そこで頭をなでると黄色く目を光らせて喜ぶので愛が育める。

頭をなでると喜ぶ

ひこうき遊びをしてあげると喜ぶ

 たまごは樹脂にカルシウムを配合し、本物のたまごを思わせる素材。割れる部分にはひび割れのテクスチャーを施すことでリアルな割れ感にこだわったという。本体重量は約270g、持ったときにずっしりした重みがある。電源は単3乾電池2本。電池を交換しても成長レベルは保存される。ジュニアに成長した後も本体設定でリセットすれば元に戻せる。ただし孵化させられるのは一度きり。

プラスチックにカルシウムを含ませてたまごらしさを出した

底面はシンプル。スイッチでスリープ状態にすることもできる

 ウーモは世界同時展開のいわゆる重点製品。タカラトミー代表取締役H・G・メイ社長は「中身がわからない」という製品のおもしろみに大きな期待をかけていた。開発テーマはモノよりコト。アプリやVRなどデジタルおもちゃが増える中、あえてスタンドアローンで通信系を一切もたず、たまごを育てて孵化させるという貴重な体験を子供に与えられるおもちゃを作ったという。

 もちろん子供のおもちゃなので子供にウーモを育てる体験を楽しんでほしいとと思う一方、大人としても孵化体験は相当に来るものがあると思われた。たまごからの孵化にしても赤ちゃんのような反応にしてもシンプルなだけに比喩としては相当強力で、お父さんお母さん世代が遊ぶとウッと来てしまうのではないかと思う。わたしはまだ生まれてもいないのに涙腺がうるんだ。やばい。

 なお10月9日には日本トイザらスがアクアシティお台場3Fで「HIKAKINと一緒にウーモを生もう!」というイベントを開催する。13:30~、15:30~。各回60分で参加は応募制。イベント名の印象が強すぎる。詳しくはウェブページで。


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盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、記者自由型。戦う人が好き。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中

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