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Xeonコア64基、30TBをエッジ側で実装

IoT向けエッジコンピューティングのニーズに応える「HPE Edgeline」

2016年09月12日 07時00分更新

文● 末岡洋子

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IoTで重要となるデータの収集と利用に対し、Hewlett Packard Enterprise(HPE)はエッジでの処理を可能にする「HPE Edgeline EL1000」と同EL4000を発表した。エッジ部分で高性能な処理能力を持たせることで、すぐに分析を得られるというものだ。開発の取り組みを主導したHPEのバイスプレジデント兼サーバー/IoTシステム部門ゼネラルマネジャーのトム・ブラディシッチ(Tom Bradicich)博士に話を聞いた。

HPE バイスプレジデント兼サーバー/IoTシステム部門ゼネラルマネジャー トム・ブラディシッチ(Tom Bradicich)博士

データを移動させることでさまざまなリスクが生じる

――なぜエッジ部分が重要なのか?

ブラディシッチ:即時性と深さの間でトレードオフがあるという課題を受けてのものだ。収集したデータをクラウドに送れば深いレベルの分析が得られるが、これでは時間がかかる。Edgeline EL4000の場合、Xeonコアを最大64基、30TB以上のストレージをエッジに持つことができる。エッジとはモノがあるところで、クラウドでもないし、データセンターでもない。

2015年にIoT製品ライン「HPE Edgeline IoT System」を出した時に、すでにEdgeline ELシリーズの構想を抱いていた。

――すぐに分析が得られる以外のメリットは?

ブラディシッチ:エッジでデータをキャプチャし、制御し、管理できる。これは、ほかに6つのメリットをもたらす。帯域の削減、そしてコスト、セキュリティ、データの重複の回避、データ破損の予防、規制遵守などだ。

データを移動させることでセキュリティ、データの破損などのリスクが生じるが、エッジで収集、分析できればこれがなくなる。データの重複とは、エッジにあるデータをクラウドに送ると多くの要素を複製することになるが、エッジで分析できればこれを回避できる。最後の規制遵守は無視できない問題で、企業、国、業界の規制により、国境を越えてデータを伝送できない例はかなりある。

――クラウドの役割は不要になる?

ブラディシッチ:クラウドが不要になるとは考えていない。代替としてエッジで処理できることが重要であり、それに答えるのが今回の製品だ。HPEは両方を提供できる。

EdgeLineでは業界標準技術であるx86を利用した。数万、数十万のプログラムを動かすことができる。インフラ、ワークロードとエッジに向くものが何でも動かせるので、制限がなくなる。これは、サーバーレベルのXeonを搭載していない競合他社のIoTエッジ製品では実現できないことで、まったく新しい世界を切り開くことになる。

“コンバージドIoTシステム”は新しい製品カテゴリ

――“コンバージドIoTシステム”と銘打った理由は?

ブラディシッチ:現在、市場にEdgelineと同じ機能と性能をもつシステムはない。新しい製品カテゴリを切り開くもので、それに名称が必要だ。自動車が生まれたとき、”新しい馬車”とは呼ばず”自動車”という新しいカテゴリが生まれたが、それと同じだ。

コンバージドは“インテグレート(統合)”だが、何をコンバージしたのか。まず高性能のx86 Xeon技術を搭載し、次に同じボックスにストレージをコンバージした。そして、高精度データキャプチャと制御技術をコンバージした。

自動テスト制御、計測といった市場は数十億ドル規模の大きな業界だが、これはHPEのビジネスではない。ここでわれわれはNational Instrumentsと(NI)提携し、NIのデータキャプチャと制御技術を利用する。これにより、モノから大量のデータを消化できる。これまでデータの取得、特にアナログの世界から計測データをとりだすのは別々のハードウェアで行ってきたが、Edgelineはこれを統合する。ここでは業界標準のOpen PXIというオープン技術を利用している。

最後にコンバージしたのは、実証済みのHPEシステム管理技術「HPE iLO(Integrated Lights-Out)」だ。数十万台のサーバー、PC、デバイスを管理できる技術で、データセンター、ITシステム、クラウドなどの管理に使われている。

このように、データセンターレベルの処理能力、ストレージ、NIの計測データキャプチャ・制御技術、管理技術の4つを統合したベンダーはいない。だから、Edgeline ELは新しい製品カテゴリとなる。スイッチではないし、IoTゲートウェイでもない。サーバーでもルーターでもエンベデッドコンピューターでもない。

――コンバージすることのメリットは?

ブラディシッチ:スマートフォンは電話、インターネットへのアクセス、GPS、カメラといった機能をコンバージすることで利便性を提供し、これが受け入れられた。Edgelineは利便性に加えて、ケーブル不要、コスト低下、フットプリント縮小、消費電力低下などのメリットを提供する。

最初にカテゴリを作ることで、“ファーストムーバーアドバンテージ”を得られる。HPEの顧客は、いち早く最新の技術を利用して競合と差別化を図ることができる。革新的な製品なので、顧客はこれを活用してイノベーションにつなげることができるだろう。

Universal IoT Platformとの関係は?

――御社はUniversal IoT Platformを5月に発表している。今回のコンバージドIoTシステムとの関係や位置付けは?

ブラディシッチ:Universal IoT Platformはソフトウェアで、データセンターで動き、接続されたモノの管理ができる。ソフトウェアの一部はクラウドベースで、Edgelineでも同じものを利用している。だが、Universal IoT Platformはエッジで動かすことを想定していない。モノの管理であって、データ分析ではない。Edgelineの多くは分析により、迅速に洞察を得ることを目的としている。

――今後のEdgeline製品ポートフォリオ拡充計画は?

ブラディシッチ:今後も投資を拡大して製品ファミリーを拡大する。今回EL1000とEL4000を発表したので、EL1000と4000の間、それからEL4000の上が考えられる。

イベントで披露されたEdgeline EL1000(上)と同EL4000(下)

システムの堅牢性、速度、全体の改善に加えて、さらなる機能のコンバージも進める。ここでHPEは明確なビジョンを持っており、さまざまな構想や計画がある。12月の「HPE Discover」でなんらかの発表ができるだろう。

われわれのチームはブレードサーバーで業界にイノベーションを起こした。イノベーションは、ビジョンがいかに優れていても、(作る側が)あらゆることを想像できるものではない。顧客やパートナーが使ってみてフィードバックをくれるが、われわれが想像していない意外な使い方や用途がでてくる。そこにも期待をしている、Edgelineでも同じように、開発者、顧客、パートナーに構想を伝えると同時に、意見を聞きたいと思っている。

――HPEはハードウェアを通じてコンピューティングの進化を支えてきた。コンピューティングの進化からみたコンバージドIoTシステムの位置付けは?

ブラディシッチ:メインフレーム、データセンターなどを見ると、垂直に進化してきた。一方で、コンピューティングはPC、ノートPC、タブレットなどと分散も進んだ。コンバージドIoTシステムは分散化の方法となるが、人間ではなくモノのためにある。ここが重要だ。人々がコンピュータを取り出して持ち歩きたいという需要が分散化を進めたが、今回はモノがデータセンターから(コンピュータを)取り出したいというのがモチベーションになっている。

モノという点で説明すると、人間の体もモノになりうる。体というモノについて体温、心拍数、血圧、肌の状態などさまざまなデータがあり、データサイエンティストである医師がデータを集めて診断してくれる。

人間の健康、ビジネスなどでモノのデータの重要性が高まっている。ここでの注目はアナログデータだ。熱、位置、音、光、粒子、加速、振動、湿気などはすべてアナログの事象だ。これをデジタルにして処理できるようになると、さまざまなメリットがある。しかも、これらアナログのデータソースは現存するすべてのビックデータを合わせたものよりも大きい。最古で、最大で、最も成長している分野だ。

在庫管理やメディカルデータなどの伝統的なビックデータがあり、ツイート、コメントなどのソーシャルビックデータがある。これに、アナログデータが加わることで、IoTはさらに進化するし有用な技術となる。HPEは課題解決のためにスキルや知識を活用していく。

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