エッジサーバー+IoTアプリ開発基盤+構築/開発支援サービスを提供、製造業IoTの第一歩を促す
NSWとPTC、HPEが「ファクトリーIoT」検証向けスターターパック
2017年02月24日 07時00分更新
日本システムウェア(NSW)、PTCジャパン、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の3社は2月23日、製造業における工場IoTデータ活用を促す「ファクトリーIoTスモール・スターター・パッケージ」の提供を開始した。ハードウェア、ソフトウェア、導入/開発支援サービスがセットになっており、社外にデータを出すことなくIoTの検証導入ができる。
今回のパッケージでは、HPEのエッジコンピューティング向けサーバー「HPE Edgeline EL1000」と、PTCのIoTアプリケーション開発基盤「ThingWorx SCO Platform Edition - Standard」が提供され、その導入やIoTアプリケーション開発支援、サポートのサービスをNWSが担当する。これら一式を、月額50万円(税抜)からのサービス使用料モデルで提供する(基本は1年間のサービス利用を想定)。
NSWのサービスには、サーバー環境構築や生産設備/PLCなどとの接続作業だけでなく、顧客要件に基づく個別テンプレート作成、データ取得支援、オンサイトでの技術者トレーニング、ヘルプデスクサポートが含まれる。顧客環境にもよるが、最初の1カ月程度で要件確認からシステム構築を完了し、工場の稼働状態をリアルタイムモニタリング可能にするとともに、IoTアプリケーション開発のための技術トレーニングやサポートを提供していく。
NSWの竹村大助氏は、今回のパッケージは、ファクトリーIoTのプロジェクトの立ち上げにまず必要となる「仮説検証(POV:Proof of Value)」段階を短期間で、なおかつ低コストで実施するために企画されたと説明した。そのため、現場のユーザー自身で効果検証と追加開発を繰り返し、試行錯誤しながらIoTアプリケーションを開発できるよう、NSWエンジニアによるトレーニングを組み込んでいる。また、月額利用料モデルを採用し、ハードウェアもレンタル扱いで提供する。
オプションとして、より幅広い生産設備/センサーデバイス群との接続を可能にするPTC「Kepware」の追加構築、リモートVPNサービス、NSWによるリモート監視サービスなどもラインアップしている。
「データはあるが、何から始めればいいかわからない」顧客がターゲット
製造業顧客におけるファクトリーIoT導入について、NSWの竹村氏、PTCの宮川公延氏とも異口同音に、「何から始めてよいのかわからない」「最初の一歩が踏み出せない」顧客が多いと語る。その一方で、この3社の枠組みで取り組んだファクトリーIoTプロジェクトの成功実績もあり、それならば「最初の一歩」をパッケージ化して導入しやすいものにしようと考えたのが、今回の発端となったという。
PTC 宮川氏は、ターゲット顧客として「すでに生産設備から何らかのデータは取っているが、さらなる効率化が求められていて、何から始めていいのか、何ができるのかわからない」ような顧客だと述べた。規模的には年間売上1000億円程度の製造業が中心だが、あまり規模を問わず提案していきたいと強調した。NSW、PTCが持つベストプラクティスや導入事例なども紹介していくという。
Edgelineサーバーを提供するHPEの岡田和美氏は、ファクトリーIoT分野においては遅延を減らし、データ損失やセキュリティのリスクを低減するために“インテリジェントエッジ”が求められており、それを実現するのがEdgelineファミリーであると紹介。特に今回のパッケージでは「現場に閉じた形で検証(POV)ができる」ため、リスクを負うことなく検証をスタートし、同時にIoTデータ活用のシステム構築も進められると説明した。
なお、Edgeline EL1000はMoonshotカートリッジを内蔵するサーバーで、今回の標準パッケージでは、8コアインテルXeonと32GBメモリを搭載した「ProLiant m510サーバーカートリッジ」を採用している。