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肉食ナベコの「なんでも食べてみる」 第156回

人工知能がぴったりのお酒をオススメしてくれます

AI利き酒師で日本酒販売店は無人になるか

2016年08月26日 11時00分更新

文● ナベコ

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 人工知能(AI)が利き酒師のようにオススメの日本酒を教えてくれる。そんなことが可能なのでしょうか。

 伊勢丹新宿本店の日本酒ブースでは、人工知能「SENSY(センシー)」による接客サービスを8月24日から8月29日までの期間限定で導入中。感性を分析するという人工知能で、お客さんの味覚や好みを分析してぴったりだと思われる日本酒を提案してくれるというもの。

 日本酒は奥深くて味の感じ方も人それぞれ。そんな世界にAIが応用できるのでしょうか? 酒ならなんでも好きなため酒博愛主義である記者が試してきました。真実の愛(好みの日本酒)は見つかるでしょうか。

3種の日本酒を試飲することで味覚が解析される

 さて、人工知能によるアドバイスがどのように受けられるかと言うと、定められた3種の日本酒を試飲して、店頭の一角に置かれたタブレットにて簡単なレビューをするだけ。最後にどういう食事に日本酒を合わせたいかを選択するという段取りです。

3種の日本酒を試飲して、甘さ、旨みといった項目を5段階で評価するだけ。

 SENSYはもともとファッションAIとして活用されているもの。ファッションの場合、好きな服をいくつか選ぶことでその人の好みを解析し、アルゴリズムと組み合せてオススメを提案するという仕組み。伊勢丹新宿本店では2015年9月からこれをファッションフロアに導入していました。今回は同じ人工知能ではありますが、日本酒。ファッションと酒って全然別のようですが、評価の項目を変えるなどして応用が可能なのですね。

試飲用の日本酒はそれぞれ個性が異なる。

 さて、試飲用に用意された日本酒は「節五郎 出品酒」「越乃寒梅 白ラベル」「大七 純米生もと」の3本。評価の項目は「甘味」「酸味」「旨み」「余韻」「芳醇(コク)」「好み」の6つ。

試飲。自分の感性が試されるようでドキドキ。でも、深く考えずにレビューをしたほうがいいとか。

 記者も試飲してやってみました。節五郎は吟醸酒らしくすっきりフルーティー、越乃寒梅は米の旨みがしっかりしていて、大七は生もとなので酸味が強いな、とかを考えながら各項目をチェック。あまり考えずに直感で回答したほうが、より感覚に近い結果になるということでした。

芳醇(コク)かぁ、難しいなぁ……。とか考えながらグビグビ。あ、試飲だからいっきに飲んじゃだめかな?

 味覚を解析。「芳醇と酸味に鋭い感覚を持っている」と評価されました。甘味のへの感覚が低いのが気になります。気になりますが、そこは見ないことに。

芳醇と酸味については高評価。

 日本酒に合わせたい食事は、その時食べたいなと思った「焼き鳥(タレ)」を選択。それを踏まえた「醸し人九平次 HUMAN」と出ました。海外の星付きレストランでも提供されるほど世界的にも評価が高い“九平次”の中でも、「国境や民族を越える」という思いが込められた日本酒だそうです。

焼き鳥が食べたい!

「醸し人九平次 HUMAN」が人工知能にオススメされた。1本3120円。ちょっと高いが欲しい。

 特別にこちらも試飲させてもらったところ、フルーティーだけどくっきり。力強いので、味がしっかりしている焼き鳥にも確かに合うでしょう。試飲した3つの中では節五郎に好みの評価を項目を高く付けたので、それに近いです。

 人工知能オススメの1本。「酒はどんな子も愛しい」とフラフラしていた私も年貢を納めて一生を捧げるべきでしょうか? そんな気もするし、必ずしも言い切れないような気も。とりあえず、かなり好みであることは確か。よし、給料が入ったら買いに来よう。

オススメの指標は多くの人の試飲データによる

 タブレットの操作でこんなに簡単に日本酒の嗜好がわかるのであれば、酒販売店コーナーに専門家の販売員は必要なくなるのでしょうか? それはそれでさみしい、なんて少し心配しましたが、実際のところ人工知能はお客さんとのコミュニケーションの入口にすぎないということ。

確かに好みの味だった。

 人工知能によるオススメのお酒がわかったところで、ピンポイントでその銘柄を買う必要もなく、お店にいる販売員と話をすることで別の可能性が広がるかもしれません。

 日本酒ブースの販売員に話をきいたところ「通常、料理に合う日本酒を提案することはすぐできるけど、お客さんの好みや味の感じ方を知るまでは時間がかかる。ひとくちに甘口や辛口といってもお客さんによって感じ方が違う。そういったパーソナルな部分をAIが整理してくれるので、オススメの日本酒をベースに要望に応じた提案ができる」ということ。

「AIをきっかけに、お客さんとのやりとりを増やしたい」ということ。

 日本酒の甘口・辛口はよくききますが、辛口とうたっているものを飲んでも人によっては「甘い」と感じる場合もあるそう。つまりは、ラベルに書かれた説明でも人によって感じ方が違う。なので今回、オススメ対象である日本酒30種は、酒の素人を含んだ50名ほどで試飲。多くの人の感性をもとにデータベースを作成しているので、ラベルに書かれた成分をベースにするより、ずっと人の味覚に沿っているということです。

 人工知能ではありますが、試飲したデータがもとになっているというのがちょっと意外でした。人間味あるな、日本酒AI!

 SENSYによる日本酒ブースの人工知能接客サービスは8月29日で一度終了しますが、9月14日には今度はワインのAIソムリエサービスも期間限定で開催。「人工知能におせっかいされる」なんて思わずに、私のような酒博愛主義の人は試してみるとよいでしょう。自分でも気が付かなかった自分の嗜好に気が付けるかも。

必ずしも日本酒を購入するつもりではなくても、気軽に体験できるのも魅力。

■関連サイト

訂正とお詫び:内容を一部修正しました(8月26日)


ナベコ

寅年生まれ、腹ぺこ肉食女子。特技は酒癖が悪いことで、のび太君同様どこでも寝られる。30歳になるまでにストリップを見に行きたい。Facebookやっています!

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