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高負荷に耐えるためのパソコン完全冷却術 第2回

ファンのフィン形状でエアフローに劇的な差が生まれるか?

2016年08月24日 12時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax) 編集●北村

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フロントからの吸気で風はどう動く?

 まずはフロントファンの場合からチェックしていく。事前のテストで800RPMと1600RPMで比較してみたところ、スモークの流れに大きな変化はなかったため、以下の3点はすべて800RPMのものになる。

 後述するが、排気ファンの回転数に応じて変更すればいいといった、これもよく言われる結果に着地している。なおCooler Master「Silencio FP 120 PWM」のみ、最大回転数である1400RPMで検証している。

 XtraFlo 120 Slim。ある程度進んだ時点で拡散し始めているが、ケース内だけで考えると、3.5インチシャドウベイを通過したあとにばらけるため、CPU側とGPU側に分かれやすいと考えられる

 Silencio FP 120 PWM。XtraFlo 120 Slimと比べると、より遠くまでまっすぐ進んでいる。フロントの下部にセットした場合は、あまりCPU側に空気が流れにくくなる可能性が高い

 JetFlo 120。上記ふたつのファンの中間のような動きを見せた

 以上の結果から見ると、お約束的にフロント下部にファンをセットする場合、エアフロー全体を考えると、XtraFlo 120 SlimかJetFlo 120が無難なようだ。

 またSilencio FP 120 PWMは直進性が高いため、フロント下部ではなく、上部や中腹部にセットしてCPUクーラーやメモリーをダイレクトに冷却したい場合に向くといった判断になる。これはフィン形状やパッケージにある文言からも判断できる部分なので、参考にしてほしい。

リア排気で風はどう抜けていく?

 さて、次はリアにセットした場合だ。フロント側では回転数はあまり関係なく、どう空気が進むかの判断でいい結果となったが、古くから排気ファンをゴリゴリ回せといったお約束が存在している。

 これも事前に800RPMと1600RPMでテストしてみたところ、明らかに後者のほうがよく吸い込んでいたため、以下の動画は1600RPM時のものになる。フロント側での検証と同じく、Cooler Master Silencio FP 120 PWMは1400RPMだ。

 XtraFlo 120 Slim。右下・左下へのスモークの溜まり方とファンから1度に排出されなったスモークを確認できる

 Silencio FP 120 PWM。XtraFlo 120 Slimほどスモークは上に引っぱられていない。厚みがあるためか、しっかりとスモークを排出できている点にも注目

 JetFlo 120。フロント側でのテストと同じく、中間のような動きになった

 第1回の結果を踏まえると、フロント側から空気を取り込んで、リア側で確実に排気できるのが、やはりお約束だという再確認ができた。

 また吸気側についてはファンの回転数は大きく影響しないようなので、スペックに応じてファンを増やすといい。もちろん、増やす場合は、直進性のあるファンだとエアフローの作りやすいため、今回の場合ではSilencio FP 120 PWMを並べるのがベターになるだろう。

 排気については広範囲から空気を集めてもらう必要があるため、Silencio FP 120 PWMではなく、JetFlo 120のような標準的な扱いになっているファンが正解といったところだ。

 あまり意外性のない検証になったが、これまでの自作経験から得た知見と大差のない読者ばかりだったと思う(標準的な環境に限るが)。複数のファンをフロントにセットした場合はどうなるかといった疑問もあるのだが、それはよりわかりやすい検証台を作成してからにしたい。

 最後に、トップフローとサイドフローのCPUクーラーで、温度変化はどう変わるのか気になったのでテストしてみた。

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