「Windows Information Protection」
法人向け機能では、2つのセキュリティ機能が紹介された。1つは「Windows Information Protection」で、もともとはEnterprise Data Protectionと呼ばれていた機能。企業内にあるデータが外部に漏洩しないようにするための機能で、例えば「Officeドキュメントはすべて暗号化する」と設定されているドメインがあったら、WordなどのOfficeで作ったファイルはすべて暗号化され、Officeドキュメント以外にコピー&ペーストしようとすると警告が出る、といった設定が可能。企業や組織の部門ごとなど、それぞれのポリシーに応じて設定を柔軟に変更できる。
「Windows Defender Advanced Threat Protection(ATP)」
もうひとつが「Windows Defender Advanced Threat Protection(ATP)」。Windows 10に付属するセキュリティソフトのWindows Defenderはクライアント向けだが、こちらは管理者向けの監視ツールという位置づけ。Windows 10 Anniversary UpdateにはATP用のサービスが新たに組み込まれており、このサービスから収集した情報をベースに各デバイスを監視して、マルウェアに感染してどういった動作をしていたか、といった過去のデバイスの動きもあとから確認できる。
これまでのセキュリティ対策では、マルウェアなどに「侵入されない」ことを目指していたが、侵入を完全に防御することは不可能として、侵入されても早期に検出して対策が行えるようにした。ただし、ATPはAnniversary Update以降のWindows 10でしかサービスが動作しないため、企業内などでクライアントがAnniversary Updateを適用している必要がある。
3種類のリリース形態も用意
Windows 10は、今後も継続的にアップデートを行い、すべて無償で提供する。年2回程度の大型アップデートが目標で、Insider Previewと呼ばれる早期にアップデートを配信する仕組みも用意。ユーザーからのフィードバックによって改良をすすめつつ、一般リリースとされる「CB(Current Branch)」、安定したのちに企業が一斉展開するための「CBB(Current Branch for Business)」、組み込み機器などの特殊用途向けの「LTSB(Long Term Servicing Branch)」という3種類のリリース形態も用意し、それぞれのユーザーに応じたタイミングでアップデートできるようにしている。
Windows 10への移行は順調というのが同社の認識で、国内でも「グローバルと引けを取らない数になった」と三上氏。日本の大手企業も8割が移行の検証に入っており、今後はこの移行をさらに推し進め、「1台でも多くのPCに導入する」(三上氏)ことを目指していく。