ラインの自動化で品質を高めつつ短時間で納入可能に
TIHは、もともとdynabookのB2Bモデルの生産を行なってきた。B2Bモデルは、受注後に生産を行なうのはもちろん、注文ごとに細かく仕様が変わるため、コンシューマー向け製品のように、同一仕様の製品を一気大量に製造するというわけにはいかない。実際にTIHでは、1ヶ月あたり10~14モデル、1800もの型番の製品を製造しているという。しかも、そのオーダーの半数は10台以下の少数注文とのこと。そういった中で、高いレベルの品質を確保しつつ、素早く効率よく製品を製造するために、様々な取り組みを行なってきたという。
通常の企業では、6ヶ月単位で目標を設定し、その結果に応じて翌期の目標を新しく設定するというサイクルを取っていることが多いのに対し、TIHでは90日サイクルで目標を設定しているという。これにより、問題点に対する対処をスピーディーに実現でき、優れた品質を確保している。実際にTIHでは10年間このサイクルで目標を設定し運営することで、不良率の大幅な低減を実現したという。
また、本体の設計から製造、出荷まで、すべての工程をTIH内で行なっているため、各工程のデータを一貫して管理できるのも強みのひとつ。トラブルに対してスムーズに対応できるのはもちろん、各工程の作業員が集まりやすく、トラブルへの対策もいち早く取れるからだ。
例えばプリント基板の製作では、以前は部品挿入を作業員が手で行なっていたが、現在はすべて機械による自動化で実施することで、不良率を大幅に低減。そして、プリント基板の通電検査を、基板製作時ではなく本体に組み込んだ後に行なうという、大胆な省力化も実施している。本体組み込み後に不良が発覚すると、本体から取り出して不良を改善する必要があり、手間もコストもかかることになるが、TIHではプリント基板製作で十分に高い品質を確保できているからこそできる手法だと、胸を張って説明する。
そして、プリント基板の検査を省くことで、プリント基板製作から組立までを一貫したラインとして作業を行なうことが可能となり、従来までプリント基板製作から組み立て完成まで2日必要としていたのが、12時間に短縮され、最短で2~3日後には製品が届くという短時間納品を実現している。
もちろん、プリント基板製作時の検査を省いたからといって、検査を怠っているわけではない。TIHでは、納入された部品の検査や、組み立て完成後に全数で機能検査を行なうとともに、1台抜き取って分解検査を行なう。さらに、梱包が終了した製品の中からも抜き取り検査を行なっている。ラインの自動化を進め、常に問題点を洗い出して改善し、必要な検査は徹底して行なうからこそ、常に優れた品質が確保できているわけだ。