昔ながらのやり方が通じない「VUCA」という世界
クラウド化への取り組みが不可欠であることは、日本オラクルの杉原博茂社長兼CEOの基調講演でも示された。
「いま訪れているのは、VUCA(ブーカ)という世界。これは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったものであり、これまでとはまったく異なる新たな世界のことを指す。世の中は大きく変化しており、昔ながらのやり方が通じない世界が来ている」と指摘する。
その一例として挙げたのが、ネットワークサービスが5000万人に到達するまでの速度だ。
1876年に米国の発明家であるグラハム・ベルが電話の特許を取得してから、全世界5000万人の利用者に到達するまでの期間が75年。それに対して、ラジオは38年、テレビは13年、インターネットは4年、Facebookは3.5年、LINEは399日と大幅に短縮化。そして、ポケモンGOは、7日間で利用者が6500万人に達したという。
「5000万人にまで到達する期間は、ポケモンGOではわずか1週間。それを聞いただけでも、これまでの考え方ややり方が通用しないことがわかる」というわけだ。
また、2015年に日本の人口は28万4000人減少し、65歳以上は26.7%と4人に1人となった。労働人口は、2010年の調査時より295万人減少し、6000万人割れが直前となっていることを示しながら、「労働人口の減少を考えれば、いまの力を維持するためには、少なくとも5%の生産性をあげてなくてはならない。そこにクラウドを活用しなくてはならない」と指摘。日本オラクルでは、「POCO(The Power of Cloud by Oracle)」という標語を掲げ、オラクルのクラウドを通じて、Agility(俊敏性)、TCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)、Ease of Use、安心・安全な環境を提供できるという。
「Digital Descriptionというように、デジタルですべてを破壊するのではなく、Digital AIDによって、補助したり、助成したり、サポートするのが日本オラクルの考え方。Digital AIDを通じて、日本において、いかに5%の生産性をあげることができるかに取り組んでいく」と述べた。
POCOによるDigital AIDは、観光、マーケティング、セールス、予算管理、人材管理、顧客サービス、売上管理、金融サービス、村おこし、旅行予約など、様々な領域での実績が出ていることを示した。
VUCAという新たな時代が訪れているからこそ、クラウドが不可欠。ポケモンGOのように、一気に利用者が増えるような予測できない事態にも対応し、さらに、生産性を高めるための武器がクラウドになるというわけだ。
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