年内にGeForce GTX 1080 Tiと1060が発売か?
ここからは今後の話だ。近いうちに、GP106コアのGeForce GTX 1060 TiとGeForce GTX 1060がリリースされるらしい。こちらはAMDのRadeon RX 480を仮想敵とすることになるモデルだ。
といってもRadeon RX 480が出るので急に仕立てたというわけではなく、もともと想定していたモデルであるが、結果的にRadeon RX 480と正面からぶつかるモデルになる、という話である。
コアはGP106と呼ばれるもので、おそらくはGPCが2つになるものだ。GeForce GTX 1060 Tiはこの2 GPCをフルに生かしたモデル、GeForce GTX 1060はGPCは2つのままながら、各々のGPCの中のSMをいくつか無効化したものになると思われる。
メモリバスは256bitを踏襲し、4GBと8GBの両方のモデルが用意されることになりそうだ。おそらく、であるがGeForce GTX 1060 Tiの方はRadeon RX 480を意識して199ドルないしそれに近い金額で出てくると思われ、Tiなしの方はそこから多少下げることでお買い得感を演出することになるだろう。
ラインナップではGeForce GTX 960の後継という位置付けにあるのだが、微妙なのはGeForce GTX 960/950は引き続きラインナップされることだ。これらの製品は、GeForce GTX 750Ti/GeForce GTX 750に代わってローエンド向けということで存続する「らしい」。
実はNVIDIAはGP106の他にGP107/GP108というコアも計画しているらしいのだが、先のルールによればGP107はGPCが1つとなる計算で、GP108はGPCが0.5個という計算になって、これは明らかにおかしい。
そもそもGP107/108は新規に製造するダイなのか、それともGM100/200世代のコアのリネームなのかも現時点では定かではないのだが、とりあえず2016年中にはお目見えしそうにない。
もう1つ不明なのがハイエンドである。こちらに関してはあまり情報がないのだが、一応HPC向けには順調に出荷が進んでいるようだ。
Tesla P100の導入を予定しているいくつかのサイトが「間もなく評価を始められる」といったレポートを出しているので、一応納入は順調に進んでいるとみなしていいはずだからである。
ではビデオカード向けは? というと、これはGP100の歩留まり次第である。Tesla P100は本来60個のSMで、このうち4つを冗長部扱いにして歩留まりを改善しているが、5つ以上のSMに欠陥があったら出荷できないことになる。
こうしたダイが多く発生するようであれば、ロードマップ図とは逆になるが50SM(つまり5GPC相当)程度の構成としたものをGeForce GTX 1080 Tiなどの名称で早期(2016年第4四半期?)に投入する可能性はあるだろう。
ただどちらかといえば、今は「56SMそろってなくてもいいからTeslaを早くよこせ」というHPC市場からの声の方が高い。
なにしろこうしたHPC向けでは、まず利用者がアプリケーションを構築し直さないといけないため、少しでも早く実際の機械を入れることが望まれている状況であり、どこまでGP100にゆとりがあるのかは不明である。
そう考えると、GP100搭載のビデオカードが投入されるのは、現実的には2017年に入ってからの公算が非常に高そうではある。

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