「ZTE Car」に乗ってスマホ工場へレッツゴー
さて、スマホをいくつか見せてもらったならば、ぜひともその製造現場も見てみたいものです。ショールームの最後のエリアにはゴルフ場にあるカートのような電動自動車が複数置かれており、来訪者はこれに乗って工場の見学ができるのです。さっそく乗り込むとまずは社内の廊下を走りだします。書類をかかえた社員の人とすれ違うなど、このカートに乗って移動するだけでもおもしろい体験ができます。
せっかくだからこの電動カートは「ZTE Car」と呼ぶことにしましょう。ZTE Carに乗って最初に案内されるのがZTEの中国の各拠点の模型。ZTEは深センだけではなく、上海や北京、南京などに研究所や工場を持っています。
ちなみに、メインの工場は深センと西安。両工場合わせて月間700万台の生産キャパを誇ります。西安には完全自動化ラインも導入されているとのこと。ここ深センではスマホのほかに通信機器などの製造もおこなっており、ZTE CarではSMTライン、いわゆる基盤実装工場を見学できます。整然と整理された室内で防護服に身をまとった社員の方々が黙々と作業を行なっている風景は日本の向上と変わりません。
さすがに工場内部を自由に見学することはできず、SMTラインもZTE Carに乗ったまま遠目に作業工程などを見るだけに留まります。しかし、せっかくスマホメーカーの工場に来ているのだから、スマホを実際につくっているラインも見てみたいですよね。
その希望を伝えると別のビルにあるスマホの最終組み立てラインを見学させてもらえることになりました。ちなみに、この写真は別工場へ移動するときの1コマ。敷地のすぐ外のバス停にちらりとZTEのスマホの広告が見えました。
スマホの工場のラインは撮影の制限が多いため、まずは実際の組み立てラインの写真から紹介します。ちょうどいまは日本向けのとある端末の組み立て中。隣のラインでは別国向けのスマホを組み立てていました。このラインはほぼ完成品の端末を最終チェックするところで、各種機能をテストした後、ファームを焼き込んでパッケージする、製造の最終ラインとなります。
日本向けのスマホも発見! こだわりの品質管理
写真にはモザイクを入れていますのであしからず。パッケージされる前の製品は、抜き取り調査ではなく全製品、1台1台すべてがテストされます。日本向けと言うこともあり品質管理もかなり強化されています。
ところで、ちょっと興味深い作業が通話・通信テスト。入れているSIMカードは中国のキャリアのもの。この端末は日本のキャリア向けですからSIMロックがかかっています。実はテスト段階まではSIMフリーで、その後の工程でファームを焼き込む時に一緒にSIMロックもかけているとのこと。
このラインでのテスト結果は10年間保存されるとのこと。ラインには「日本」の文字が見えますが、日本向けの製品だけに品質を守るだけではなく、そのデータもきちんと保管し、製品に不具合が出たときにすぐに検証できる体制がつくられています。
このあたりはZTEのメーカーとしての努力はもちろんのこと、日本企業とビジネスを行なっていく中で品質管理に対する考え方も会社全体で強化されていったと工場の品質管理関係者が話していました。
たとえば、ZTEは各国のキャリア向けにベースが同じでもカスタマイズを加えた製品を製造しています。この丸いパーツは子供向けの時計型端末のもの。片方には「L」、もう片方には「K」の小さい刻印がされています。Lは韓国のLG U+向けでしょう。Kは、おそらく日本のK社だと思われます。
このようにパーツレベルで刻印を行ない、さらにはラベルを貼り付け、ラインに流す前にCCDカメラでラベルを読み取り「いまのラインに流していいパーツかどうか」といった判別を機械操作で行なうようにしています。これにより多種多様な製品をひとつのラインで製造しても、パーツの混在ミスを限りなくゼロに近づけることができるわけです。
ZTEはプロジェクター内蔵型タブレット「Spro Plus」や、光彩認証対応スマホを立て続けにリリースするなど、新しい製品の企画力や開発力は十分に持っています。それに加えて品質管理体制のしっかりした工場も持っているわけです。AXON 7のようなハイスペックなスマホはZTEのこれまでのモノづくりの集大成として生まれたのでしょう。日本での発売はかなり期待していいと思いますよ。