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豊富な最新技術デモも、開発者向けイベント「de:code 2016」基調講演

MSナデラCEOが語る、3つの注力プラットフォームと「もう1つ」

2016年05月25日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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Office 365がデータプラットフォームとなる「Microsoft Graph」

 MSが注力する2番目のプラットフォームは「Office」だ。グッゲンハイマー氏は、「ExchangeサーバーやSharePointサーバーも含め、Officeは長年、LOB(業務部門)向け開発者のためのプラットフォームとして成長してきた」と紹介する。そして近年の「Office 365」登場によるクラウド化によって、そのプラットフォーム色はますます強まっている。

Officeのモメンタム。12億ユーザーを抱え「世界中の共通言語になった」とグッゲンハイマー氏

 グッゲンハイマー氏は、この数年の動きを通じて、Officeプラットフォームにおけるアプリケーション統合の方向性が「2つ用意された」と説明する。1つはOfficeをフロントエンドツールとして外部アプリケーションを組み込む(アドインする)方向性、もう1つはOffice 365に保存されているデータをAPI経由で引き出し、他のアプリケーションで活用するという方向性だ。

 後者は「Microsoft Graph」を指す。これはOffice 365に保存されているユーザーのプロファイルやメール、スケジュール、タスク、所属グループなどの情報やファイル、Excel上のデータを単一のAPIから取得可能にし、さらにはその膨大なデータから人間関係やアクティビティなどへの洞察も得られるサービスだ。

Office関連の最新トピック。「Azure Active Directory」活用によるシングルサインオン環境の実現も

Microsoft Graphの概要(Webサイトより)。Office 365上のあらゆるデータをAPI取得可能、さらにデータから洞察を導く

 同基調講演では、Excelのスプレッドシート上にAzureでホストしているWebアプリケーションを組み込むデモ、そしてMicrosoft Graphを介してロボットにメールを読み上げてもらうデモが披露された。

自分で開発したWebアプリでも、ストアで配布されているWebアプリでも組み込みが可能

ロボットに自然言語で話しかけ、Office 365上のメールを音声合成で読み上げてもらうデモ

PaaSとしての提供サービスラインアップをさらに拡充していくAzure

 そして、3つめの注力プラットフォームは「Azure」である。MSが狙うのは「インテリジェントクラウド」という位置付けだ。

 グッゲンハイマー氏は、Azureのユニークな点を3つ挙げた。世界中にデータセンターを展開し「数もキャパシティも、AWSとグーグルを足し合わせたものより多い」という「ハイパースケール」、オンプレミスにも同じソフトウェアスタック(Azure Stack)を展開できる「ハイブリッド」、そして20年以上にもおよぶ企業顧客との関係で培われた、サポートやサービス、顧客ビジネスへの理解も含めた「エンタープライズ対応(エンタープライズレディ)」、この3点である。

Azureのモメンタム。毎月12万件以上の新規ユーザーサブスクリプションが増えているという

Azureの最新トピック。「Azure IoT」プラットフォーム、マイクロサービス基盤「Azure Service」などAWS対抗策も次々

 さらにグッゲンハイマー氏は、AzureがPaaSとして提供するサービスが増えており、まだ“as a Service”化されていないワークロードも多いと述べ、今後さらにサービスのラインアップを増強していく方針を示唆した。

 デモでは、「PowerBI」のレポートをAzure上のリポジトリに保存し、それをWebアプリケーション内に組み込むことで、リアルタイムにレポートがレンダリングされる様子が披露された。

ローカルのPowerBIで作成したレポート素材をAzureのリポジトリにアップロードするだけで、Webアプリケーションに組み込める

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